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なんか変だと思った。

なんていうか、声色が冷たい気がした。







慎「…なんかあった?」

「なんで?」

慎「なんとなく」

「忙しいとそれなりに色々あって消化不良って感じかな…」

慎「忙しいだけいいじゃん、俺なんてまだ…」

「そうだよね、ごめん、今のは慎に言うことじゃなかったね。忙しいのは期待されてたり求められてる証拠だもんね。」







少しずつ明るくなってきた空。







「もうすぐだね」

慎「そうだな」







しばらく沈黙が流れた。

先に口を開いたのはAだった。







「今年も慎とこの景色見れて良かった、この景色ずっと忘れないから。」

慎「なに言っ、……」







また変なことを言った。

Aの方を見たら初日の出を見ながら涙を流していた。

その姿があまりにも綺麗で、そして儚くて俺は何も言えなかった。

あっという間に日は昇り、朝になった。







「慎、ありがとう」

慎「えっ?」

「慎には心強いメンバーがいるから大丈夫だよ。みんなを信じてみんなを頼って頑張ってね。」

慎「おい」







帰ろうとするAを呼び止めた。







慎「初詣は行かねぇのかよ」







毎年、初日の出を見た後はこのお墓のすぐ近くにある神社に初詣に行ってた。

大きくないし有名な神社ではないから混んでない。







「現実に戻りたくないから今年はいいや!あっ、この帽子貰ってくね!代わりにこれあげる!」

慎「えっ、」

「じゃあね!慎!」







そう言ってAは鞄の中からニット帽を出して俺に渡した。

そしてコートのポケットから取り出したメガネをかけて歩いて行った。

これがAを見た最後だった。





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作者名:LALA | 作成日時:2023年8月26日 18時

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