変わらない世界 (ページ22)

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こんなにも強く抱きしめたのは初めてだ。

Aは俺の背中に手を回して優しくトントンとしてくれた。

慎「…おせーよ、」

「ごめん、ごめん、寂しかった？」

慎「…当たり前に寂しかったし…」

「あれ、珍しい、慎が素直だ、」

そう言って俺の腕の中でクスクスと笑うA。

すると、いきなり、“あっ！”と言って顔を上げた。

慎「いや、急に顔あげんなよ」

「初日の出！」

慎「えっ？」

「初日の出、見逃した！」

慎「あっ…」

Aを抱きしめてる間に、日は昇っていた。

「ココで初日の出、見れなかったとか初めてなんだけどー。今年の運勢不吉な予感ー。」

慎「辞めろよ、俺、アリーナツアーあるんだから。」

「あっ！そうだった！慎、アリーナツアーおめでとう！韓国にも行ったでしょ？凄いじゃん！私より先に世界に行ってるし私より大活躍！」

慎「韓国行ったの知ってたの？」

「慎の活躍はぜーんぶチェックしてたからねー」

慎「なんだよそれ…」

「曲も全部聴いてるし、パフォーマンスも全部見てたよ。慎、昔より上手くなってる。」

慎「…上手くなって当然だし、」

「ふふ、いつも通りの慎だ。」

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「この帽子ありがとう、返す！」

慎「いらない、あげる。」

「いいの？」

慎「その代わり、今俺が被ってる帽子貰うから。」

「いいよ！」

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