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1月1日。
今年も俺はあの場所へ行く。
慎「えっと、あと20分ぐらいか…」
2年前まではAと毎年見に来てた初日の出。
去年は初めて一人で見た。
そして今年も一人。
一人で見る初日の出があと何回続くのか。
それともこれから一生一人なのか。
Aのことを考えてるとあっという間に時間は過ぎ、初日の出の予定時刻となった。
目の前に広がる空を見てると、
「ギリギリセーフ」
あれ、Aの声がした?
いやいや、Aはアメリカだし。
ツアーのリハばっかで疲れてるんだ。
初日の出見たら家帰ってゆっくり休もう。
「あれ?聞こえてなかった?おーい!慎ー!」
あれ、名前呼ばれた?
気のせい?
気のせいじゃない?
俺はゆっくりと空から視線をそらし、顔を左に向けた。
そこにはずっと会いたかった人が立っていた。
「そのニット帽、私のなんだけど?」
変装ゼロなAを心配して2年前、ココで俺のニット帽をAにあげたじゃん。
その代わりに鞄から自分のニット帽を出して俺にくれたんじゃん。
なんでその時の俺のニット帽を今でも被ってんだよ。
慎「…そのニット帽、俺のなんだけど…」
「あー、そっか!アメリカ寒かったから大活躍だったよ!」
慎「なんだよそれ…」
「あっ、言い忘れてた……慎、ただいま!」
壱馬さん、ごめんなさい。
体が勝手に動いてました。
気付いた時には俺はもうAを抱きしめていた。
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作者名:LALA | 作成日時:2023年8月26日 18時