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壱馬「行くんか?」
慎「はい」
壱馬「気ぃつけてな」
慎「はい、行ってきます」
明け方、俺は寮を出た。
毎年恒例のあの場所へ行った。
今日は1月1日。
6時半を過ぎた頃…
慎「…綺麗だな、」
毎年Aと二人で見てた初日の出。
7年目の今年は俺一人だった。
初日の出を見て去年のAを思い出した。
初日の出を見て泣いてた。
きっとあの時の涙は今まで辛かったことが溢れたから。
儚く思えたのは、きっとAがもういっぱいいっぱいだったから。
「来年は慎がデビューしてるし、私も何してるか分かんないから見に行こうよー」
「…大丈夫、慎はきっとすぐに追い付いてすぐ私を追い越すよ。」
「今年も慎とこの景色見れて良かった、この景色ずっと忘れないから。」
今思えばあの日のAは不自然なところがたくさんあった。
言ってる言葉もその声もその表情もいつもとは違った。
慎「なんで気付いてあげられなかったんだろう…」
俺は初日の出の写真を撮ってAに送った。
慎あけおめ、一人で初日の出って寂しいね
スマホをポケットにしまって帰ろうとしたらLINEの通知音。
どうせメンバーだろうと思いスマホを開くとAからだった。
Aまだこっちはあけおめじゃないけどねー
とりあえず、慎だけ先にあけおめ!
そのメッセージとともにアメリカの夜の町並みの写真が送られてきた。
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作者名:LALA | 作成日時:2023年8月26日 18時