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剛典「ねぇ」
大樹「あっ、岩田さん、どうしたんですか?」
剛典「なんでそんなになるまで飲ませたの?」
俺が話しかけにいったときには限界だったのか、カレンちゃんはバーカウンターのテーブルに突っ放して寝ていた。
大樹「俺は止めました、勝手に飲んだのはカレンです。飲みたいときに飲ませてあげただけです。」
剛典「こんなところでそんなに飲ませんなよ」
大樹「それは公共の場だから気を付けろってことですか?それとも個人的な気持ちがあるからですか?」
剛典「…何が言いたいの?」
大樹「好きなんですよね?カレンのことが?」
剛典「……」
大樹「岩田さん見てれば分かりますよ。でも岩田さんにはあげません。」
剛典「付き合ってるから?」
大樹「“まだ”付き合ってません。岩田さんみたいな人と一緒にいてもカレンが傷付くだけです。」
剛典「そんなこと言われる筋合いないんだけど。それにそれはアンタじゃなくてカレンちゃんが決めることだ。」
俺とカレンちゃんのこと何も知らないくせに。
俺がカレンちゃんを連れて帰ろうと手を伸ばしたらその手を佐藤くんに止められた。
大樹「触らないでください」
剛典「はっ?」
大樹「カレンは俺が送っていきます」
剛典「家知ってんの?」
大樹「……」
剛典「俺は知ってる、だから俺が送る」
そう言うと後ろから隆二さんの声が聞こえた。
隆二「岩ちゃん、タクシー今来たよ」
剛典「ありがとうございます」
ナイスファインプレー。
俺はジャケットを脱ぎ、カレンちゃんの頭からかぶせた。
こんな無防備な姿、他の奴に見られてたまるか。
お姫様抱っこをして俺は会場をあとにした。
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作者名:LALA | 作成日時:2022年3月31日 15時