夜を呑む (ページ47)

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「おえーーーーーっぷ！！！」

「うわあああ！！」

翌日放課後、車内に龍くんの絶叫と吐瀉物の臭いが充満する。
急いで窓を開けるが、既にその臭いは鼻についてしまい、喉元まで込み上げたソレを抑えるように口に手を当てた。

「Aちゃん！？」

「ぎよ…やば…」

「全員今すぐ窓開けろー！！」

バスは停車したが、それでも一度催された吐き気は止まらず、口から溢れ出しそうになった物を何度も飲み込んで耐える。
胃酸で喉が痛みだし、口に酸っぱいのが広がる。
それでも吐き出す訳にはいかなかった、だって隣には潔子ちゃんが居て、私は通路側。
通路を挟んで隣の席にはスガくんと澤村くんが居る。
見られたら恥ずかしいしら臭いも音も聞かれたくない。

「大丈夫ですか！？」

「先生、Aさん一度降ろします！」

武田先生の言葉に、私は潔子さんに連れられて車内を飛び出した。
バスから降りて道路の端に寄り、しゃがみこんで全てを吐き出した。
潔子さんはずっと背中をさすってくれていて、落ち着いた頃に武田先生が飲み物を渡してくれた。

「……ありがとうございます…」

「無理しなくていいからね」

「あい…」

胃酸でダメージを受けた喉からカサカサの声が出た。
最悪だ〜と私は天を仰いだ。
いつの間にか日向くんと龍くんもバスから降りていて、日向くんは顔を青くして私に何度も謝ってきた。

「すみません！！すみません！！すみません！！」

「いﾞいﾞよﾞ〜気ﾞにﾞしなﾞいﾞで」

いつものように笑ってみせるが、声は枯れていて、私は咳払いをして声を戻し、日向くんを安心させるようにもう一度大丈夫だと言った。
龍くんはズボンを履き替えて袋を三重にし、バスに戻って行く。

「Aちゃん、窓側座って」

「ありがとうございます…」

潔子さんは次は私に窓側を譲って下さり、私は少し窓を開けて風に当たった。
あ〜このガサガサの声で青城の人に会うのか、と思うと少し萎えた。