夜を呑む (ページ41)

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来る土曜日。
潔子ちゃんの後を追って体育館に入れば、朝から潔子ちゃんに言い寄り、ガン無視されてクネクネしている気持ち悪い龍くんの姿が視界に入った。

きも、と呟けば隣で力くんが冷めた目をして、そういう所だぞ…と呟いていた。
もちろんそれは龍くんの耳に届いていて、聞こえてんぞ！！と声を荒らげていた。

「あっ…この間の…」

「月曜日ぶりだね〜」

小さい方の1年生と目が合ったので、微笑んで手を振る。
日向くんが小さい方で、大きい方が影山くんだそう。
昨日龍くん達から聞いた。
ホイッスルを首からかける潔子ちゃんの隣に立ち、得点板にチョークで月島・山口、影山・日向と書く。

「よーし、じゃあ始めるぞ！月島達の方には俺が入るから…」

「ええっキャプテンが！？」

日向くんの言葉に澤村くんは大丈夫、と笑って返すが、攻撃力は龍くんの方が上だと言っていた。
それはそうだろう、でも守備力はダントツで澤村くんの方が上。
あの人の持ち味は安定したレシーブ力、立ち姿だけで武藤くん並の安心感がある。

「盾対矛みたい」

「あー確かに、月島背ぇ高いし、ブロックとレシーブVSサーブとスパイクって感じする」

「さっきまで田中張り切ってたのになあ」

同級生達で集まれば、各々と龍くんについて語り出す。
少し前までならもっと騒がしかったのに。
きっと純粋な瞳でこの輪に混じっていたであろう、彼の姿を思い浮かべた。
色々と変わってしまった、ノヤくんは戻ってくるとは言え、私はまた1人仲間を失っていた。