夜を呑む (ページ12)

今日:4 hit、昨日:11 hit、合計:199,798 hit

・ページ12

「場地の事はオレらに任せとけ」

「ボコしてオマエの前で土下座させてやっからよ」

「土下座はやりすぎ…」

10月30日、私は東卍の創立メンバーと神社の石段で屯していた。
決起集会が終わり、私が壱番隊のメンバーに絡まれていたところを連れ出してくれたのだ。
私は東卍のメンバーでも何でもないけれど、なぜだかみんな私を慕ってくれている。
それがとても温かかった。

「しっかしよー、あんだけA溺愛してた場地がA振ってまで芭流覇羅行くとはな」

「帰ってきたらビンタしてやってもいいぜ」

「本気なんだろうね、圭介は一虎くんほっとけないみたいだし」

三ツ谷が空を見上げて言うと、ドラケンが冗句めかしてそう言った。
だがその後に私が一虎くんの名前を出した瞬間、マイキーの雰囲気が変わった。
それも一瞬で、気のせいではないかと思うほどだった。

「知ってたのか…」

「うん、全部聞いたよ。圭介は人情に厚いからなあ」

少しの星が瞬く空を見上げる。
目を閉じれば昨日のように浮かぶ圭介との思い出。
付き合う前は一虎くんと3人で遊んだりした、すぐ2人で喧嘩ふっかけるし一虎くんは誰よりも思考回路がぶっ飛んでて私は苦手だった。

『Aちゃん〜場地が好きだって言ってたよ♡』

『一虎余計なこと言うな！！』

苦手だったけど、お互いが楽しそうにしている姿を見るのは好きだった。
みんな、みんな仲間思いでその輪に混ざれることが本当に幸せだった。

「抗争終わったら真っ先に私のとこに圭介連れて来てね、ぶん殴ってやる」

口ではそう言うけれどもそんな気にはなれなかった。
みんなが揉める姿を見たくなかった。
一虎くんも、東卍に戻ってきて欲しかった、あの頃に戻って欲しい。
でも、マイキーに無理をさせてしまう。
マイキーはまだ、一虎くんを許していない。

「マイキー、無理しないでね」

私にできるのはこれが精一杯だった。
そしてこれが私達が集まる最後の機会になった。