静かな戦争 ページ32
em視点
城に着いてからAさんは皆さんにケーキを配りに巡っている。ある一人の分を除いて。その一人は今私の目の前で紅茶を飲むこの男だ。
｢なんだエミさん、お前から話があるとは珍しいな｣
｢グルッペンさん、彼女が呪いについて知る必要はないでしょう。｣
｢ふむ…何故だ？あの呪いの恐ろしさを知れば我々がここまで彼女を丁重に扱う理由がわかる上、自衛の念も付くだろう。そもそも、彼女の知る権利は誰にも阻むことはできん。俺は彼女に種を与えただけだぞ。｣
｢だとしても！あんな話を彼女に聞かせるのは容認できへんわ……。｣
エーミールの瞳はただ真っ直ぐグルッペンを射抜く。それに対しグルッペンは｢お前もわかれ｣と言わんばかりに彼を眺める。甘い食べかけのケーキ。未だ湯気のたっている紅茶。一見素敵なティータイムは、静かなる戦場に変貌していた。
｢もし彼女が襲われたらどうするつもりだ。｣
｢俺らが、俺が彼女を守ればいいだけの話やろ。｣
｢はぁ…珍しいなお前がそんなに感情的に動くのは｣
｢俺だけじゃない、鬱先生だってオスマンさんも同じ意見や｣
｢勿論全力で守るさ。だがもしもの場合も考えることだな。不意打ちされ攫われてみろ、間に合わなければ大惨事だぞ｣
｢それはわかってますが…｣
｢俺らだって裂ける時間は有限だ。つらくても知ってもらわねばいけない時期だろ｣
｢暴発したらどないすんのや、防げるものを防がんつもりか。｣
静けさが場を支配する。視線だけで会話し合う。互いに互いの意見の正当性を理解しているため、これ以上は意地の張り合いとなるのを察しているのだ。
｢とりあえず俺は認めへんからな｣
｢まあ暫くはそれでいいが…。俺らが出払う日が近いことを忘れるな。彼女を傍に置くことがどうしてもできへんからな｣
全く手をつけていないケーキを置き去りにして俺は扉の外にでる。しばらく歩くと一階廊下でひとらんらんさんと楽しそうにケーキの箱を抱え歩く彼女を見つけた。
夜中、一人で散歩する彼女が時折涙しながら歩いているのを私は知っている。無論、他の幹部もだ。涙して当然であろう、急に日常を奪われ、自由は与えている方だが実質軟禁と変わらぬ状態。いくら甘やかしているといえども、日常ほど渇望するものはない。そんな中、あれだけ明るく振る舞い私たちに気遣わせまいとする彼女に惹かれるのは当然だろう？
願わくはこれ以上、彼女が何も奪われませんように。
そう祈り、私は仕事に戻るのだった。
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にむ(プロフ) - しゃけ@さん» 気づいてしまいましたか…！いろんな所に動画やTwitterのネタも投入してますのでよければ他も探してみてください！ (2020年12月6日 0時) (
レス) id: 966aa2874f (このIDを非表示/違反報告)
しゃけ@(プロフ) - 猫？魚？…ハッ、ししゃもねこ…ブロマガ巡回流石です… (2020年12月5日 20時) (レス) id: 5cfff60272 (このIDを非表示/違反報告)
にむ(プロフ) - 幽霊狸の詩花(ｳﾀ)と煽り狐の和琴(ｱｺ)さん» コメ指摘ありがとうございます！うわほんまや誤字ってる……。ご指摘ありがとうございます！助かります……！！ (2020年11月3日 14時) (レス) id: 0f0ceb48a8 (このIDを非表示/違反報告)
幽霊狸の詩花(ｳﾀ)と煽り狐の和琴(ｱｺ)(プロフ) - 幽霊狸の詩花｢どうも、初コメ失礼します。あのいきなりで誠に申し訳ないんですけど、“童貞とパン屑と玄人”の【買いたいグッズ】のところなんですが【解体グッズ】では無いでしょうか？勘違いだったらすみまs(((煽り狐の和琴「コイツのこと狸鍋に…^^」ﾔﾒﾃｯ!」 (2020年11月2日 22時) (レス) id: 931c5ca3e7 (このIDを非表示/違反報告)
にむ(プロフ) - 謎の物体さん» ああああああああDM開けてなかった……！！！めっ、うわ、ほんとすいませんいま開けました…フォロリクも送りました……ほんま、うわ、ほんますんません。よろしくおねがいします……。 (2020年10月5日 13時) (レス) id: 0f0ceb48a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：にむ | 作成日時：2020年7月30日 20時
