検索窓
今日:5 hit、昨日:2 hit、合計:741 hit

出かける ページ5

「準備いいか?」

うなずく。

「大丈夫。エリス、瓶は持った?」

「当然。普段から持ち歩いてるから大丈夫だ。じゃ、行くか。」

宿をぐるっと見回す。

…すぐ帰ってくるからね。

「こっち、だ。」

エリスが指差すのは森の方。

「楽園って言うくらいだから…きっと誰にも知られない場所にあるはず。こっちで合ってると思うわ。」

歩き始めると、すぐにエリスが話しかけてきた。

「お前はどうやって採集家の存在を知った?」

過去を振り返る。

「私には…両親がいないの。3歳離れた兄と2人で暮らしていたわ。けどその兄が亡くなって…急に1人になったから戸惑ってね。兄の遺品整理をしていた時に取り乱して本棚をくずしてしまったの。その時に開いた本が…これよ。」

常に持っている蝶と採集家の資料。

見せてあげるとエリスは少し目を見開いた。

「じゃあ…お前が生き返らせたいのは兄さんか?」

「…そうね。他人とたくさん接する。尚且つ安定した収入。だから町中で宿を始めたの。」

「あぁ、あのおまじないか?」

…聞かれていたのね。

「お前目的のためなら手段を問わないタイプだろ。その嘘使って何年目だよ?」

「さぁね。…あなたは?」

エリスは切なげな顔をした。

「父さんを…甦らせるんだ。他の猟師の弾が当たってそのまま。母さんは病気だし、妹はまだ働ける年じゃないから…俺1人じゃ家族養っていけねぇよ…。」

家族…。

きゅっ、と心が絞まる音がした。

心じゃなくて…首だったかも。

「こんな暗い話やめようぜ。お前蝶は何持ってきた?」

何だったかしら。

かばんの中を確認する。

「えっと…赤、青、黄色が2つずつ、緑と黒が1つずつよ。」

「ふーん、ま、いけるか。あいにく俺は赤、青、黄を3つずつしかない。そこは誰かに協力してもらうしかなかそうだな。」

……。

「そんなこと、できるかしら。」

だって…私たちは…。

「私たちは…“嫌われ者”、“悪魔”だから。」

立ち入る→←備える



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (4 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
設定タグ:オリジナル , ファンタジー   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:円香 | 作成日時:2018年8月7日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。