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しばらくした後、篤とAは病室を出た。
篤「これ返してくる」
篤は持ってきた車椅子を返しに行くらしい。
『あ、私も一緒に行くよ!』
Aは自分の荷物をまとめていた。
篤はAの後ろ姿を見つめていたが、静かに近づいた。
『よしっじゃあ…いこっ…』
Aが『行こうか』と言おうとした瞬間だった。
後ろから篤の両腕に抱きしめられたのは。
いわゆるバックハグというやつだ。
『え…あ、篤くん?』
突然のことに焦るA。
そんなAとは違ってどこか落ち着いた様子の篤。
篤「ごめん…少しでいいからこのまま、いさせて欲しい」
篤の腕の力が少し強まる。
『うん…いいよ』
密着する2人の体。
心臓の音が加速する。
ドキドキが止まらない。
『私ね…篤くんが好きなお母さんの唐揚げの作り方が知りたくて、勝手に篤くんの実家に行っちゃったんだ…、そしたらバタバタしちゃって、他人なのに…ごめんね?』
篤「ちがう…Aがいてくれなかったら、俺は1歩踏み出せなかった、妹が産まれる瞬間に立ち会えなかった…っ、Aの言葉のおかげでここに来れた…」
『そっか…私も篤くんが来てくれて嬉しかった!やっぱり、カッコイイよ篤くん』
そう言って笑顔で笑ったA。
篤の両腕が離れてAは篤の方を振り返る。
篤「A…俺お前のこと…っ」
篤は言いかけた言葉をぐっと留めた。
篤「…なんでもない、行こう」
『…うんっ』
Aはさっき篤の両腕が回ってきた肩に手を置いた。まだ少し熱い気がした。
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りゅがたん(プロフ) - めっっっさ好きです。 (2020年9月26日 14時) (レス) id: 868e42b033 (このIDを非表示/違反報告)
あつ - 就活で忙しい中、更新してくださりありがとうございますm(_ _)m真夏の少年関連のお話では作者様のお話が大好きなので、これからも作者様のペースでの更新、楽しみにしています! (2020年9月15日 18時) (レス) id: 1c3e72fdde (このIDを非表示/違反報告)
ぱみ(プロフ) - 愛奏さん» ご指摘ありがとうございます。申し訳ありません、こちらも気持ちが焦ってしまい半ば強引な表現だったと反省しております。修正させて頂きます。 (2020年9月9日 11時) (レス) id: 34ee2ee9d5 (このIDを非表示/違反報告)
ぱみ(プロフ) - さらさん» ありがとうございます!就活との両立でどうしても更新に遅れが出てしまうのでできる時にたくさんして行くのでぜひ最後までお付き合いお願いします! (2020年9月9日 11時) (レス) id: 34ee2ee9d5 (このIDを非表示/違反報告)
ぱみ(プロフ) - う。さん» オチは決めてないんですけど…お楽しみに!! (2020年9月9日 11時) (レス) id: 34ee2ee9d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぱみ | 作成日時:2020年8月22日 0時