私、自分嫌いなんで５【俺のスカート、どこ行った？】

君澤の過去 ページ47

明智達も気づいていた。映り込んでいた人物が『矢野先生』であることを。

みんなが署名活動をしているのも見ていることしか出来なかった私が最後にしてあげられることは…原田をみんなの元に戻すこと。

だから、みんなが校長室に来て矢野に署名を渡す時も達成感で溢れてたけど、それと同時に明日からの私はここにはいないんだっていう悲しみが襲った。


次の日、川崎達から送られてきた『卒業式』をやるというメールも受け取るだけで何も返さなかった。

でも、今なら言えるかもしれない。
母親に最後の反抗を…。

君澤『お母さん…』

私の言葉に母親は振り向かずに動かしていた手を止めた。

君澤『私ね……働いてお金を稼げば、お母さんが喜んでくれると思ってたの。自分が壊したお母さん達の幸せを…私なりに取り戻そうとした！
でも、きっとお母さんに幸せなんて上げられてない……。

お母さん……私…疲れちゃったよ』

私の目から涙が溢れ出た。
その場から去ろうとリビングの扉に手をかけた時母親が言葉を放った。

母親｢……子供の幸せを願えない…母親って……最低だなって言ってた私が……1番にやってた。｣

母親がこちらを向くと母親の目にも涙が。

母親｢…陸にもAにも……母親らしいことなんて何もしてあげられなかった……ごめんなさい｣

何年ぶりだろう…母親の温かさを感じたのは。

君澤『お母さん…学校…行っていい？？』

私の言葉にお母さんは優しそうに微笑んで頷いた。


やっと、私は1歩進むことが出来た気がしたんだ。
でも、ここがまたスタートでもある。


君澤の過去 END

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