【MHA】RE:SET【男主】 (ページ38)

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37回目ページ38

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「では、私は位置につかせていただきます」

キューブはステージの奥へと進んで行った

俺はその場から動けずに、両の手で顔を覆い深呼吸する

ありがとうなんて、言われていいような人間じゃないだろ

覆っていた手のひらをジッと見つめる

俺の手は、個性は、人を傷つけるだけの…

なのに、嬉しいと思ってしまう自分がいる

キュッと拳を握りしめ、視線を前へと向ける

《皆位置についたね。それじゃあ今から雄英高一年、期末テストを始めるよ！》

《レディ───…ゴォ！！！》

スピーカーから開始を告げるコールが響く

ステージは住宅街、とりあえず俺はゲートを探すために走り出した

「クロ」

俺が名を呼べば黒い砂のような物が集まり、人に近しい形へと変化する

『ナァニ』

「出口を探してこい」

『ワカッタ』

建物の屋根へと飛び登ったクロは何処かへと駆けていく

細めの路地から抜け出した時、そこにはキューブが待ち構えていた

「ッ！」

キューブの個性を知っている俺は慌てて立ち止まり、建物の影へと隠れる

「おや、〝個性〟を覚えていましたか」

特に焦った様子の無い声色、姿が見えないからどう動くかわからない

『アッタ、ヨ』

頭上から現れたクロ、さっき放したばかりでもう帰ってきた

キューブの場所といい、もしかしたらゲートは意外と近いのかもしれない

「どこに、」

「注意を逸したらいけませんよ」

「？！」

いつの間にかキューブは距離を詰めて目の前にまで迫ってきていた

俺は反射的にその場から退こうとするも遅く、腕が掴まれる

キューブは俺を〝個性〟で捕らえようと見つめる

『ハナシテ』

クロが大きく手を高く上げ、キューブへと振り下ろそうとするのが視界に映る

「クロッやめろ！」

その手は止まることなく俺たちの真横を通る

凄まじい風圧に態勢が崩れ、緩んだ隙に逃げ出した

「…例の能力ですか」

キューブは掴んでいた手の平を見つめ、対処を考える

楪はなんとか走り抜け、住宅の奥地で息を整えていた

「…はぁ、はぁ、…ッどうする…」

汗が滲んできてそれを手の甲で拭い、一息つこうとしたら

ドガァーーーン！！という凄まじい爆音に驚いて路地へと出る

「私は敵(ヴィラン)ですから！建物への配慮なんてしませんよ！」

キューブの声に頬が引き攣っていく

持っているカフスを見つめ、意を決する

「クロ、手伝え」

『イイヨ』

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