【MHA】RE:SET【男主】 (ページ26)

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25回目ページ26

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「…クロ、俺を持ち上げて」

5人の距離が一定に離れたのを確認してクロを呼ぶ

黒い砂粒が、人の形を成していく

「投げろ」

クロは楪を持ち上げ、かなりの勢いで投げ飛ばした

風に揺れるコスチューム、腕についているサポートアイテムのアンカーを射出

「うっ」

勢いに一瞬持っていかれそうになるが、なんとか踏み止まり壁を伝って着地する

信号を再度確認し、この辺りであるのは確か

だがその地点を見て面倒だな、と感想を抱いた

「ビルか…」

目の前には8階はありそうなビル、同じ位置でも階層が違えば見つけられない

一番始めに着いた優位をここで生かさねば

ビルへ入り建物の構造をある程度理解して進む

コンクリートの階段を歩く音が木霊する

5階まで上がった時、屋上の方の扉が開く音がした

誰だろう、思ったより早かったな

5階のフロアへ足を踏み入れ、キョロキョロと見渡せば大きすぎるシルエットを見つけた

「楪少年！君が一番乗りか！！」

「みたいですね」

約2分後、蛙吹さんがやって来た

「ケロッ！楪ちゃん早いわね」

俺の姿を見て少し驚いたようだがいつもの調子だ

常闇くん、麗日さん、青山くんの順でゴールしフィニッシュの声がかかる

「ありがとう！」

助けてくれてありがとう、タスキを貰いそれを手の平で眺める

…俺の〝個性〟でも、人を救けることができるんだろうか

ギュッとタスキを握りしめた

男子更衣室

「楪！始め浮いて飛んだの〝個性〟だよな！？」

「あんな飛ぶとかすげえな！」

「おぉ…」

砂藤くんや上鳴くんが結構グイグイ寄ってくるので少し距離を取る

「〝個性〟初めて見たけど、サイコキネシス的なやつ？」

尾白くんも興味があるのか着替えながら聞いてきた

「俺以外に見えない分身を操るんだ」

「胸踊る…！」

「常闇くんそういうの好きだよね」

「ま！楪も訓練参加出来る様になってよかったな！」

ポンッと背中を切島くんに叩かれる

「…？」

なんだか胸が、ぽかぽかする

懐かしい…ような…

─藍色、─

「───え？」

急に耳の奥、頭の中を響く砂嵐に混じった懐かしい声

手の平に、赤黒い液体がベッッタリと張り付いて見える

「ﾊｯ…ﾊｧｯ……うっ！！」

震えが止まらない

─どｻﾞｯ…い、ｻﾞｯ…─

「ﾊ、ﾋｭｯ…ァ"」

心臓の音が、煩くて、胸元の辺りをグシャッと握りつぶされたみたいだ

≪IBM散布量超過を感知、電気ショックを行います≫

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