【BTS】はじまりのおと【男主】 (ページ9)

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日本人の血をひくうえに先月まで日本に住んでいた

とても気に触ったのだろう

この授業中は特に当たりが強い

クラスメイトも他の目がないからって、丸めた紙を僕に投げつけてきたりする

もちろんそれを注意する人はいない

授業の採点で集められたノートに“日本に帰れ”なんて書かれていたこともある

本当はそのまま日本の中学に通うつもりだった

だけど卒業間近に母さんが倒れ、入院することになって

父さんは海外ツアー中で帰国するのが難しいから、と母さんの故郷である韓国に来た

僕も生まれ自体は韓国だし、国籍だってあるから問題はなかった

今は祖父母の家に居候させてもらっている

だけど入院中の母さんの事まで見てくれて、あまり迷惑はかけられない

『日本に帰りたい…』

呟いてしまった言葉にあわてて口を塞いたが

考えて込んでいたせいで気づかないうちに学校は終わっていた

どうやってその日を過ごしていたかは上の空で覚えていない

急いで家に帰る支度をしたけど、この沈んだ気分のまま帰ったらきっと心配されてしまう

ふと横目に見えた人気の少ない公園のブランコ

何気なしに腰かけて気分転換にこいでみる

穴の奥がツンっとしてきた、雨が降る前独特のアスファルトの匂いのせいかもしれない

誰もいない、夕方の静かな公園

嫌でも色々考えてしまう

どうして僕は何もしていないのにイジメられるのかな

何故忌み嫌われるんだろう、今朝ぶつかった男子のあの顔が浮かぶ

軽蔑と嫌悪の眼差しを向けられて過ごさないといけないんだろう

僕の両親は仲良しだから、こっちに来ても上手くやれると思ってたんだけど

『ウゥッ…』

自然と涙が流れてきて、止まってほしいのに溢れてくる

俯いていたらポタリ、ポタリと僕の涙と違うものが地面を濡らした

『…雨か』

次々に落ちてくる雨に僕の涙が紛れてちょうどいい

M『オンマはね、日本のこの曲が大好きなの』

何故か母さんが昔教えてくれたことを思い出す

そういえばその日も雨が降っていて、泣いていた僕を母さんが歌って泣きやませてくれたな

『〜♪』

懐かしいメロディーを口ずさむ

このまま雨が涙と一緒にこの気持も流してくれればいいのに

？「素敵な歌だね」

『ッ！？』

ブランコで揺れる視界に僕以外の人の足が映る

驚いて思わず顔を上げれば、傘をさして僕のことを見る少し太った男の人が立っていた

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