【BTS】はじまりのおと【男主】 (ページ15)

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「なんで…」

喉から絞るような声しか出なかった

耳の奥がドクドクと鳴る音が聞こえる

PD「歌う時、君はいつも何か考えている。でもそれは楽しさじゃない」

自分の中の何かを暴かれているような、そんな感覚

PD「私はただ…君が笑って歌うところを、見たいだけだよ」

初めて聞く質実なパンPDの声に、呑まれていく

歌うのは好きだけど、いつも歌うのは辛い時だった気がする

「…どうして電話してきたんですか」

PD「また君の歌が聞きたくなったから」

「貴方は本当に…変わってますね」

あの時もそうだった

びしょ濡れでブランコに座る名前も知らない子どもに、傘をさして拭うハンカチも貸すうえに話も聞くような変わった人

そんな優しい貴方からの期待に応えたくなってしまう

PD「見学だけでも来ないかい？」

またそうやって、後押しする

「………わかりました」

2日後、パンPDの事務所を建学することになった

ソウルに居る事を知られてわざわざクルマを出してくれるらしい

－2010年 11月

ここで初めて後にメンパーとなるRMとSUGAに出会う

そしてこの出会いが大きな刺激となって、僕の心を動かした

「…すごい」

ラップはよくわからない初心者だが、彼らが紡ぐ歌に惹かれていく

PD「私もね、彼を見た時君と同じような衝撃を受けたんだ」

「そう、なんですか」

PD「必ずデビューさせたいって思ったんだ」

真剣な眼差しに僕は思わず黙り込む

僕なんかに、彼らと並ぶような資格があるだろうか

「僕には無理ですよ、志もない半端者です」

PD「そんな事はないさ」

「え？」

PD「シウォナ、君には君の魅力がある。磨けば輝く原石なんだよ」

シヒョク氏の熱い気持ちが伝わってくる

この人はどうして、こんな僕に火をつけようとするんだ

「…僕でもなれますか」

PD「なれるかじゃない、シウォナがどうなりたいかだ」

熱くも優しい、この人の熱量が僕にも移ったのかもしれない

「僕は、…自分を好きになりたい。」

PD「素敵じゃないか」

ぽんっと優しく背中を叩かれる

ちょうど憩になったのか、2人の訓練生が部屋から出てきた

パンPDと僕を見ると挨拶をして頭を下げられ僕も挨拶を返す

？「パンPD、彼は？」

PD「新しい訓練生候補だ」

？「…」

PD「先に紹介しておこう、左の子がキム･ナムジュン。右の子はミン･ユンギだ。そしてこの子はコ･シウォン、よろしく頼むよ」

パンPDからの紹介で会釈をしてその場は解散になった

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