◇.私のせいじゃん！？ ページ2
｢今日の訓練中に、轟くんがね！！…(略)｣
｢え、そうだったの！？｣
僕も驚いちゃったよ。と恋人は楽しげに話す。彼と私はいつも帰り道に訓練の時の話やその日にあったことを沢山共有している。
彼は、大抵ヒーロー…オールマイトの話をよくしてくる。いわゆる、ヒーローオタクと言うやつである。
そんな彼、緑谷出久と付き合い始めてから2ヶ月、こうしていつも一緒に帰っている。
今も一緒に帰っているけれど、今日は何故か彼が”手を繋いで”くれません。いつもは何も言わずに自然と手を絡めてくるのに……なんで？
｢ねぇ、緑谷くん｣
｢ん？どうしたの？？｣
｢……て、繋がないの？｣
｢えっ？｣
最初は気にしないようにしてたんだけど…と小さく呟きながら、真っ赤になった顔を隠す。
｢手、繋いでもいいの？｣
｢うん、繋いでほしい……。｣
そう言った瞬間、彼の暖かくて優しい手が私の手と重なる。別に、始めて手を繋いだ訳でもないのにどこか恥ずかしくて、顔から火が出そうになる。
｢な…なんで、今日は手繋いでくれなかったの？｣
気になるから教えて？と言うと彼は少し気まずそうな顔で私を見つめる。数分後、覚悟を決めたのかやっと口を開いた。
｢…執拗いと嫌われちゃうんじゃないかと思って………。
僕、キミに嫌われるのは嫌だから。｣
｢え、別に手を繋がれたくらいで嫌いに、なん、て……｣
ん？ま、まさか！？
｢もしかしてお昼休みにお茶子ちゃんと話してたの聞いちゃった？｣
｢わ、悪気はなかったんだ！！｣
｢うん、分かってるよ。あのね緑谷くん、｣
今日の昼、親戚の叔父さんは酔っ払うと手を握ろうとするから嫌だとお茶子ちゃんに話していた。それの｢手を握ろうとするから嫌だ｣と言う部分だけを聞いて勘違いをしてしまったらしい。
という事は、手を繋げなかったのは私のせいじゃん！？
自分の馬鹿さに嫌気がさす…。
｢でも、嫌われたんじゃなくて良かった！｣
満面の笑みを浮べる彼に思わず笑みがこぼれる。ほんの数秒前まで落ち込んでいたのが嘘のように気持ちが軽くなった。
｢…やっぱり、｣
｢？、何か行った？｣
｢ううん、何も｣
手のひらから伝わる彼の温度に、
やっぱり、好きだなぁ。
と、思う今日この頃。
2019/9/17 風薙
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作者名：風を薙ぐ硝子売り x他1人 | 作者ホームページ：
作成日時：2019年9月16日 23時
