◆.ジャイアニズムって奴ですか ページ1
「……あのぉ、これは一体どういうことなんでしょーか……」
「あァ!?」
爆豪くんの怒鳴りに、思わずびく、としてしまう。付き合って半年経つのに、どうしてこう、彼女である私に怒鳴ってくるのか……。
……いや、今はそんな分析している暇はないのだ。
だって。
「解放していただきたいです……」
「嫌だね」
ぐ、と両手首を掴む力が強まり、更に壁に押し付けられる。
いわゆる壁ドン状態。しかも爆豪くんの部屋。
私の心臓はドッキドキだ。恐怖で。
うーん、私はなんで彼に捕まっているのだろうか……。
「……私、何かあなたの気に触れるようなことしました?」
「あァん!?
いつもだよクソが!!」
「ひいっ!」
なんかいつもより気が立っている……!!
さあっと顔から血の気が引いた。何でだ。さっぱりわかんないぞ。
いつもはちょっと狂暴な犬程度に思っていたのに……!! これじゃキレたライオンだ……!!
何でだ、どうすれば。
そんな考えばっか頭をぐるぐるしていると、ふと爆豪くんの頭が肩に寄せられた。とん、とその頭が肩に乗って、意外にも柔らかい髪の毛が頬に触れる。
「ば、爆豪くん……?」
「……半分野郎とか、クソデクに簡単に触らせるんじゃねぇよ、クソが」
「……今日のは事故なんですけど」
いつの間にか彼の中の怒りは収まっていたらしい。私に怒鳴るのは筋違いと分かったのだろうか。
どうやら、今日の訓練で緑谷くんや轟くんに私を助けられたのが気に食わなかったらしい。
思わず口角が上がる。
「……意外と独占欲強いんですね」
少し可笑しくて笑ってしまう。
すると、爆豪くんはす、と目を細めた。
……あれ?
もしかして、キレてます?
「……ふ、!?」
唐突。
噛みつくようなキスに、息が詰まる。
両手を拘束された私に、それを避けることなんてできない。
突然の熱に、頭がくらくらする。
長く感じられた数秒のあと、ようやく爆豪くんの熱が離れていく。はあ、と深く息を吐いた。
私を見下ろす爆豪くんを見上げる。
「ば、くごう、くん……」
「……たりめぇだ。
お前は俺のだからな」
＿＿＿＿あぁ、そうだ。
犬はライオンほど気高くなんてなれない。結局のところ、私を喰らう狼でしかなかったのだ。
2019/9/16 硝子屋
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：風を薙ぐ硝子売り x他1人 | 作者ホームページ：
作成日時：2019年9月16日 23時
