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続き ページ2

だけどある日、




「ごめ、Aちゃ、俺、おれ」


委員会の仕事でたまたま、本当に偶然、男の子と二人きりになってしまった。
そしてそれを真司くんに見られてしまった。


もちろんやましい事は何も無い。
けれど真司くんはまた泣いてしまった。いや、泣かせてしまった。


「真司くん…ごめんね、頑張ってくれたのに……私がいけなかったの」


大きな身体を丸めて座っている彼の首元を抱きしめる。


「Aちゃん、なんで…二人だったの?」
「委員会の他の子がたまたま休みだっただけなの、本当よ?」
「ほんと?あいつを好きになったりしない?」
「絶対しない。私が好きなのは真司くんだけだから」


やっと顔を上げてくれて、その顔を両手で優しく包み込む。涙の跡が痛々しくて、罪悪感が込み上げる。


「ごめん、ごめんね真司くん、私気をつけるから」
「Aちゃん、泣かないで……」


いつの間にか泣いていたらしい私を、真司くんは優しく慰めてくれる。
こんなにも優しい彼をどうして泣かせてしまったんだろう。
込み上げてきた罪悪感はいつしか胸いっぱいに広がり続けとどまることを知らない。




ごめんね、と繰り返しながら泣きじゃくる私を真司くんは優しく抱きしめてくれる。

座っている彼の足の間に座らされて、頬をたくましい胸板に寄せると少し早い鼓動が聞こえて安心する。


「ごめんね真司くん。好きなの、大好きなの、嫌いにならないで」
「嫌いになんかならないよ。……でもね、これからは出来るだけ男と喋らないって約束出来る?」
「出来る。頑張るから、私」
「うん、ありがと。俺はそれだけで充分だよ」



ふふ、と優しく笑う真司くんに胸がぎゅっとなる。


こんなに優しい人を裏切っちゃいけない
こんなに愛しい人を泣かせちゃいけない


「真司くん、大好き」
「うん、俺も。大好きだよ」



そう言って抱きしめてくれた彼が満足気に冷たい目で笑っていたことなんて、私は知らない。








ーーーーーーーーーーーーーーーー
伊藤君は確信犯です。じわりじわりとヒロインを崩していきました。
高校卒業したらまたじわじわと行動し、今度は部屋に閉じ込める準備をすることでしょう。

お互いちょっと壊れているので、それはそれでしあわせ…かも?

色んな顔が見たいので。(伊藤)→←伊藤君が泣いてしまうお話。(伊藤)



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莉亜(プロフ) - はじめましていつも楽しく読んでいますぜひ谷川さんのお話がみたいです!これからも頑張ってください! (2019年1月1日 14時) (レス) id: 017ccb7948 (このIDを非表示/違反報告)
ハーレクイン(プロフ) - 更新頑張って下さい!応援しています、 (2019年1月1日 3時) (レス) id: 6e522d86ed (このIDを非表示/違反報告)
ハーレクイン(プロフ) - 作者様の今井さんオチ小説からきました!素敵でした!ほんとにこういうの待ってました!!今井さん最高!!できたら、束縛激しめ相良さん書いて欲しいです!今井さんの話も見れるだけでとても有り難いので、書いてもらえたら嬉しいです! (2019年1月1日 3時) (レス) id: 6e522d86ed (このIDを非表示/違反報告)
メロンパン - 伊藤と三橋の本当の顔を知っちゃったら・・・でお願いします! (2018年12月29日 14時) (レス) id: e9a1259486 (このIDを非表示/違反報告)
わらびもち子(プロフ) - 莉亜さん» 谷川さん...!!書くとなったらのんびりほんわかなお話になりそうです笑ご意見ありがとうございます! (2018年12月23日 23時) (レス) id: 8a68cf3e08 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わらびもち子 | 作成日時:2018年11月28日 23時

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