▽ ゲスな三角関係。△ (ページ3)

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偶然ページ3

今までずっと来ていなかった

深瀬慧という人が今日学校に来た。

「あ、昨日の……」

そう声をかけられて昨日のあの人だということがわかった。

「偶然だね」

そういった深瀬くん。

昨日は暗くてよく見えなかった顔がはっきり見える。

わたしより可愛いんじゃないかってくらい、笑顔が可愛い。

でもなんでわたしのことわかったんだろう……。

あ、声か。

「穂奈美おはよーっ」

「あ、おはよ」

自問自答していると横から声が聞こえた。

この子は斎藤舞。

わたしの一番仲がいい友達である。

「深瀬、来たんだね」

舞は去年深瀬くんと同じクラスだったんだけど、１学期の途中から来なくなったらしい。

「だね」

「でも、あいつと関わらない方がいいよ」

「なんでよ」

自分でも少し声が不機嫌になったことがわかる。

そりゃあ自分の好きな人……ん？

深瀬くんのことが好き？

恋愛とは無縁だったわたしは“好き”とはどういうことなのかよくわからなかった。

「だって不良説、あるじゃん」

わらわらと男子に囲まれている深瀬くんをチラっと見ると、不良ではなさそうだ。

「でもそれ噂でしょ？」

「うーん……まあそうだけど……」

舞が言ったと同時にチャイムが鳴って、体育館に移動した。