42.測定 ページ44
sideA
『ぁあ、大丈夫、こういう個性だから』
私はあえて、こういう、がどういうのを指すのか曖昧にしたまま出久に伝えた。
案の定出久は、
｢自分から痛みをかけにいくってどういう個性なんだ…？痛みを発生させることで個性を発動させる…？｣
と暫く呟いていたが、走る順番が来て独り言を継続させながら測定へ向かった。
『そろそろいっか…』
足を踏み続けて3分ほど。
50ｍには十分なくらいの衝撃は溜まっただろう。
ため息を一つこぼして立ち上がり、測定へ向かった。
『ほっ！』
間抜けな声を無意識にあげ、地面に手を翳す。
放出！と心の中で念じながら、上に行き過ぎないように慎重になった。
｢わぁ！Aちゃん空飛んでる〜！｣
思っていたより衝撃が溜まっていたみたいで、50ｍを4秒12で走るという良い結果を出せた。
しかし着地は失敗して、地面に引きずられるようにコケてしまったことは、きっと一生の黒歴史だ。
｢凄いねAちゃん！むっちゃ速かった！｣
お茶子が腕をぶんぶん振りながら話しかけてくる。
話そうと振り返ると、丁度その後にいる人物と目が合った。
勝己だ。
確か勝己の記録は4秒13だったろうか。
そういうことか。
幼馴染みなのに勝己は私の個性を知らない。
勝己の中の私は無個性なのである。
信じられないと言ったような顔で口をパクパクさせている勝己から視線をずらし、お茶子に向く。
あの日以来初めて目が合った気がした。
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筍(プロフ) - 波瑠さん» ありがとうございます (2019年3月21日 1時) (
レス) id: 1e3fb893f2 (このIDを非表示/違反報告)
波瑠(プロフ) - 18席と推薦に２席で２０人 (2019年3月1日 19時) (レス) id: 977f6c68bb (このIDを非表示/違反報告)
筍(プロフ) - ロムさん» 楽しんでいただけて幸いです (2017年7月12日 0時) (レス) id: 515ac75390 (このIDを非表示/違反報告)
ロム - 作者様の小説のおかげです。ありがとうございます！ (2017年7月9日 19時) (レス) id: 693a45f20e (このIDを非表示/違反報告)
ロム - ああっ！更新されてる！とパソコンの前で叫んだ私は、今日も正常に動いています。 (2017年7月9日 19時) (レス) id: 693a45f20e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：筍 | 作成日時：2017年6月19日 1時
