02.過去(爆豪) ページ3
side爆豪
「Aもいつかすげぇ個性出るだろ！！出たら俺の事務所に入れてやるよ！！」
『ほんと！？ありがとうっ』
そんな会話を交えたのは…たしか3歳の夏だった。
気が付けばいつも隣にいて。
俺が探検とか言って森だとか山だとかに行く時は、決まって後ろを付いてきた。
目を輝かせながら
『かっちゃん！今日は何するの！？』
『かっちゃんすごいね！』
『かっちゃん！』
いつも俺のことばっかりだった。
ずっと俺の事を見ていた。
悪い気はしなかった。
いつからだろう。そんな心地よさが苛立ちへと変わったのは。
そうだ。デクだ。デクがAと初めてあった時からだ。
ぁあ、あいつの顔を思い出すだけでも腹が立つ。
なんだよ、普段女子と話さないからってヘラヘラしやがって。顔なんか赤くしやがって。
結局、Aの個性は4歳まで出なかった。
あいつの母ちゃんもババアもあいつの事を必死で励ました。
「無個性でも、社会の役にたてるよ」
「きっとAちゃんは、将来色んな人を助けてあげれるよ」
それは、優しくて真面目で几帳面で。
いかにも優等生、と言ったAを見て勝手に親が言ってるだけで。
俺は知っていた。
Aがどれだけヒーローに憧れてたか。
個性が無いことが、どれだけヒーローになるにあたって致命的な事か。
それを親は、上手くはぐらかしてAを慰めようと思った。
俺だって、あいつが傷ついてるのは嫌だった。
でも……＿＿＿＿
遅かった。
俺が言葉をかけようとした頃には、もうデクと一緒になって。
無個性同士で傷を舐めあって、戯れてた。
「俺にはどうしてもそれが哀れでならなかったぜ。
個性を手に入れられなくて、どうしてそんなに笑ってられるんだ？俺だったらヒーローのユメも絶たれた事に絶望して、その場で死んでただろうよ！！」
前にあいつに言った事があった。
でもそれは違った。
俺は個性が出ない事へのあいつの反応にイラついてたんじゃない。
ただ、デクと話す、デクと遊ぶ、俺じゃなくてデクの後に付いて、あの笑顔で笑いかけるあいつにイライラしたんだ。
もちろん、その笑顔を向けられてるデクにも。
どうして俺じゃないんだ。
なんで、どうして、いつのまに、
俺じゃダメなのかよ。
派手な個性だって持ってるぜ？
ほら、いつでも爆破見してやるよ。
だから……＿＿＿＿
早く、いつもみたいに
『かっちゃんの爆発、綺麗だね！』
って馬鹿みたいに笑って言えよ。
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筍(プロフ) - 波瑠さん» ありがとうございます (2019年3月21日 1時) (
レス) id: 1e3fb893f2 (このIDを非表示/違反報告)
波瑠(プロフ) - 18席と推薦に２席で２０人 (2019年3月1日 19時) (レス) id: 977f6c68bb (このIDを非表示/違反報告)
筍(プロフ) - ロムさん» 楽しんでいただけて幸いです (2017年7月12日 0時) (レス) id: 515ac75390 (このIDを非表示/違反報告)
ロム - 作者様の小説のおかげです。ありがとうございます！ (2017年7月9日 19時) (レス) id: 693a45f20e (このIDを非表示/違反報告)
ロム - ああっ！更新されてる！とパソコンの前で叫んだ私は、今日も正常に動いています。 (2017年7月9日 19時) (レス) id: 693a45f20e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：筍 | 作成日時：2017年6月19日 1時
