92.無事 ページ46
｢さすがごみ置き場。
あるもんだな｣
｢轟くん、やはり俺がひく｣
｢おまえ腕グチャグチャだろう｣
｢じゃあ、私が｣
｢お前も腕やってんだろ｣
轟は有無も言わせず1人で、縄で縛ったステインを引き摺る。
｢悪かった…プロの俺が完全に足でまといだった｣
｢いえ…一対一でヒーロー殺しの"個性"だともう仕方ないと思います…強すぎる…｣
ステインの"個性"による拘束から開放されたヒーローは、足を怪我した出久をおぶりながら唸った。
｢4対1の上にこいつ自身のミスがあってギリギリ勝てた。
多分焦って緑谷の復活時間が頭から抜けてたんじゃねえかな。
ラスト飯田のレシプロはともかく…
緑谷の動きに対応がなかった｣
轟が分析する。
｢今まで戦った敵の中でも破格の強さだったね。もう、眼が違った｣
私がそう言ったタイミングで、路地から出てきた私達を、誰だか知らないおじいさんが発見して声をあげた。
｢む！？んなっ…何故おまえがここに！！｣
｢グラントリノ！｣
"グラントリノ"は、そのまま出久の前まで飛んできて、おぶられたままの彼の顔面へ飛び蹴りをかました。
｢座ってろっつったろ！！！｣
｢グラントリノ！！｣
後から聞いた話だと、この人は出久の職場体験先のヒーローで、彼等は新幹線の中で保須への襲撃を知ったらしい。
｢まァ…よぅ分からんが
とりあえず無事なら良かった｣
｢グラントリノ……｣
出久、さっきからその名前しか言ってない。
｢細道…ここか！？｣
声がまた増えた。
エンデヴァーさんから応援要請を承ったプロヒーロー達が続々と私達を囲む。
その中にアリアさんもいて、ずっと緊張状態だった心が解放され、ほっと胸をなでおろした。
｢Aちゃん！！良かった、無事で｣
ここにいることを、アリアさんは決して咎めなかった。
ただ私が無事な事を喜んでくれて、嬉しかった。
ヒーロー殺しの姿に驚き、私達とヒーロー達が現状をお互い確認し合う中、突然飯田が頭を下げたかと思うと、そのまま顔を上げずに謝り始める。
｢………三人とも…僕のせいで傷を負わせた。
本当に済まなかった…
何も…見えなく…
なってしまっていた………！｣
飯田の声は、震えていた。
｢…………僕もごめんね。
君があそこまで思いつめていたのに全然見えてなかったんだ。友達なのに…｣
｢私もごめん｣
友達なのに、気づいてあげられなかった。
飯田の抱えているものの重さを理解して、一緒に分け合えれば良かった。→
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筍(プロフ) - ミオさん» ありがとうございます！！嬉しいです！！頑張ります！！(TT) (2018年1月4日 2時) (
レス) id: 515ac75390 (このIDを非表示/違反報告)
ミオ(プロフ) - 更新楽しみにしています！頑張って下さい！ (2017年12月2日 11時) (レス) id: 95fb949c38 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：筍 | 作成日時：2017年9月10日 5時
