91.安心 ページ45
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轟の冷却は、飯田の脚を復活させた。
飛び出てきた飯田の攻撃に気を取られているうちに、今まで動きがなかった出久が拳を構える。
逃げ場の無い空中で、二人の攻撃がステインを仕留めた。
｢よっしゃ！｣
この隙を狙って轟は頭めがけて、飯田は腰、私はステインの元へと飛んで脚を目掛けて攻撃を仕掛けた。
なんとも気持ちの悪い、脚の骨が折れる音がする。
気分がいいものではなかったが、この場を乗り切るには最悪、命をも狙わなければいけないのだ。
炎の影響で煙を吐いたステインが、白目を向く。
手応えを感じて、そのまま地面に着地する準備をする前に、轟の絶妙なコントロールで氷に攫われた。
勢い余って氷に頭をうって、鈍い音がする。
｢いっ…！｣
｢立て！！まだ奴は…｣
私が『痛い』と言い切る前に、轟が気合を入れるように叫ぶ。
その一言で我に返り、その場に立ち上がると、これから轟の張った氷にドシャリと落ちたステインの次の攻撃に備えた。
あれほどのイカれた執着心を持った輩だ。
ここまでしても、何を仕掛けてくるか分からない。
しかし、彼は起き上がらなかった。
攻撃を仕掛けるどころかピクリとも動かない。
ただ、氷の上にダラりと乗っかっている。
｢…………さすがに気絶してる…？っぽい…？｣
｢多分…？｣
｢じゃあ拘束して通りに出よう。
何か縛れるもんは…｣
氷結だと目覚めた拍子に体割れちまうかもしんねえ、と呟く轟。
私たちはたった今幕を閉じた(？)戦闘で上がった息を整える。
｢念の為武器は全部外しておこう｣
｢近づくのもちゃんと警戒しないと｣
私の注意どおり慎重にステインに近づいた出久だったが、無事に意識がないのを確認すると焦りながら武器を外し始めた。
飯田も、重たい足を上げて出久の元へ向かう。
私もそちらへ行こうと1歩足を踏み出した瞬間。
｢大丈夫だ。｣
思わず後ろを振り返る。
私に向けられた言葉だと理解するのには、少々時間が必要だった。
｢え？｣
｢お前は自分の私利私欲で人助けなんかしねえって、分かってる｣
どうしてそのことが、
そういう前に轟は微笑んだ。
滅多に見ないレアな表情に、そして私の心を読んだような気遣いに、そして何より、しっかりと私の瞳を見て轟が放った言葉に目を見開く。
それだけ言うと、そんな私を通り越して出久たちの方へ向かう轟。
すれ違い際に呟いた｢ありがとう｣
が、ちゃんと轟に届いているといいな。
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筍(プロフ) - ミオさん» ありがとうございます！！嬉しいです！！頑張ります！！(TT) (2018年1月4日 2時) (
レス) id: 515ac75390 (このIDを非表示/違反報告)
ミオ(プロフ) - 更新楽しみにしています！頑張って下さい！ (2017年12月2日 11時) (レス) id: 95fb949c38 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：筍 | 作成日時：2017年9月10日 5時
