90.思想犯 ページ44
4対1という致命的な戦いにおいて、その1の力を4と対等に振るうステイン。
｢感化されとりつくろおうとも無駄だ。
人間の本質はそう易々と変わらない。｣
飯田に折られた刀になど目もくれず、ゆっくりと話し出す。
｢おまえは私欲を優先させる贋物にしかならない！ "英雄"を歪ませる社会のガンだ。
誰かが正せねばならないんだ。｣
完全に同意する訳では無いが、少し、少しだけ、ヒーロー殺しが強い理由を理解した気がした。
信念だ。こいつは、自分の信念に従ってる。
"歪んだ"ヒーロー社会に抱いた、強力な執着心。
それが、ヒーロー殺しを生かしている。
急に不安が押し寄せてきた。
｢時代錯誤こ原理主義だ。
飯田、人殺しの理屈に耳を貸すな｣
隣で轟が言う。
しかし、いまいち頭に入ってこない。
｢いや、言う通りさ。
僕にヒーローを名乗る資格など…ない｣
そんなことないよとは言えなかった。
｢それでも…折れるわけにはいかない…
俺が折れれば、インゲニウムは死んでしまう｣
飯田がハッキリと言い放つ。
｢論外｣
そういうが早いか、ステインは真っ直ぐこちらに斬りかかって来る。折れた刀と、小刀を両手に構えて。
"歪んだヒーロー社会"。
私利私欲のために平和を守る、贋物達。
ヒーロー殺しの意見はこうだ。
だめだ、私。
ヒーローを志すものとして、こんな敵の戯れ言になんか惑わされるな。
それでも＿
｢A！！｣
轟の声にハッとする。
迫るステインに、巨大な炎が襲いかかった。
｢ごめん｣
｢ボケっとすんな！｣
珍しく声を荒らげる轟に、もう一度謝ると、手を構えた。
｢轟くん！温度の調整は可能なのか！？｣
戦いの最中、飯田が叫ぶ。
｢
何でだ！？｣
｢俺の脚を凍されてくれ！
排気筒は塞がずにな！｣
私は飯田の意図を理解して、これから飯田のお願いを聞き入れるだろう轟のサポートに回る。
飯田の壊れた冷却装置の代わりに、轟の氷で熱を冷ます。
そのあいだ防御が手薄になるであろう轟を、ステインの攻撃から守るためだ。
｢防御はいいから！
轟は冷却に集中してて！｣
口角を上げて、少しでも安心出来るように轟を見ると、轟は｢任せた！｣といって飯田の脚に手をかざす。
轟に飛んでくるナイフに右手を裂かれたが、気にせずに飛んできたもう1本を衝撃で粉々にする。
痛みなんて今だけだ。
どうか、持ち堪えて。
私達なら、絶対に勝てる。
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筍(プロフ) - ミオさん» ありがとうございます！！嬉しいです！！頑張ります！！(TT) (2018年1月4日 2時) (
レス) id: 515ac75390 (このIDを非表示/違反報告)
ミオ(プロフ) - 更新楽しみにしています！頑張って下さい！ (2017年12月2日 11時) (レス) id: 95fb949c38 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：筍 | 作成日時：2017年9月10日 5時
