74.夢 ページ27
said爆豪
保健室のベッドでうなされているこいつを見て思う。
コイツ、こんなに髪長かったか？
まじまじと見ないとそんな変化にも気づけないほど、もうしばらくこいつをまともに見ようとしていなかった気がする。
二種目目の騎馬戦を終え、昼休憩に入ったところで事を知らされた。
なんでもコイツが襲撃事件の時の敵に攻撃されたという事だ。急遽、騎馬戦には繰り上げで青山とかいうやつが入り、こいつは途中敗退。
保健室で腕の治療を受け、先生達に質問攻めにされ疲れて寝ている最中だ。
クソナードが顔を真っ青にさせて保健室に行くとほざいていたが、あいつが言ったところでAは目を覚まさなかったらしい。
「A」
なんて、何年ぶりに呼んだだろう。
「小せぇんだな…」
ベットから飛び出ている手のひらを見て、思う。小さい頃はよく繋いだものだ。
十何年とたった今でも、コイツの手は相変わらず小さかった。
「俺の個性で、お前を傷つけた」
寝ているとわかっているからか、言葉がすらすらと出てくる。聞いていなくていい。
俺がただ吐きてぇだけだ。
ヘドロの時に顔につけてしまった傷を指でなぞると、前髪がサラリと落ちた。
中学の時にこいつを殴ったりして傷つけた時とは比べ物にならないくらい、心臓に穴が空いたような気持ちだった。
ヘドロ事件をきっかけに、数年離れていた距離が少しだけ縮まった気がして。
もしかしたら明日からは、昔のようにとは言わないが自分も少し素直になれるのではないかと思っていた。
それが次の日にあのザマだ。
女の顔に一生残る傷を付けた。
しかも、俺を助けようとして。
「俺ァ、急に怖くなった」
信じられないくらいか細い声が出る。
以前のようにこいつの隣にいる資格はないと思った。近くにいてもどうせまた傷付けてしまうだけだ。
だから、せめて遠くで見守る事にした。
見守るなんて言い方は俺らしくねぇが、ピンチの時には駆けつけれるように。
こいつが昔俺に言った『かっちゃんは私のヒーローだよ』なんて言葉を今の今まで引き摺って。
こいつが本当にヤバい時は俺が守ってやれるように。
だが、それもただの理想だった。
現に今こうしてAは敵に襲われて眠っている。
守れてねぇじゃねえか。
傷ついてんじゃねぇか。
「もう俺は、どうすればいいのかわかんねぇ」
今にも泣きそうな自分の声に驚いた。
なぁ、俺はどうすればいいんだよ。
もうこれ以上、テメェに傷ついて欲しくねぇんだよ。
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筍(プロフ) - ミオさん» ありがとうございます！！嬉しいです！！頑張ります！！(TT) (2018年1月4日 2時) (
レス) id: 515ac75390 (このIDを非表示/違反報告)
ミオ(プロフ) - 更新楽しみにしています！頑張って下さい！ (2017年12月2日 11時) (レス) id: 95fb949c38 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：筍 | 作成日時：2017年9月10日 5時
