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しかし、冨岡様はひと味違う。
彼だけは下っ端の自分から見ても少々勝手が過ぎる気がする。
そして、彼の言葉の足りなさも相成って 柱の人達と衝突することが少なくない。
それが無自覚だから末恐ろしい人である。
【柱間で孤立しがちな冨岡様を、同じ仲間として気遣ってほしい】
お館様が気にしてらっしゃるのはきっとこの事だろう。
果たして、皆様気づいているのだろうか。
せめて、胡蝶様は気づいていてほしい。
「冨岡を笑わせればいいのだな?他でもないお館様の願いだ!
この煉獄杏寿郎、一肌脱ごう!」
その場に勢いよく立ち上がった煉獄さんの奇異な行動で、視界の端で胡蝶様がずっこけそうな姿が見えた。
『あのですね、お館様はそういう意味で仰ったのでは「私も頑張るわ!冨岡さんの笑顔見たいし何より、お館様のためだもの!」……』
ボクの言葉を遮って意気揚々と同じく立ち上がった甘露寺様は、頬を赤らめ声高々に宣言した。
「いえ、甘露寺さん……それは「いい心掛けだ!甘露寺!」」
胡蝶様も遮られた。もしや 気づいてる?
そちらを向くと目が合った。
頷く。頭を抱える。
出来るなら隣に座り共有したい。
だがしかし、それは適わない。
渦中の煉獄様と甘露寺様には何故か伊黒様が間に入って何やらもみくちゃしている。
やだな……関わりたくないな……。
──と、不死川が荒々しく立ち上がった
その苛立ちを隠さない態度に思わず肩が跳ねる。
「チッ。そんなクソみてぇなことすんのが目的なら、俺は帰るぜェ。てめぇらで勝手に笑わせてなァ」
憎々しげに吐きつけ、座敷から出ていこうとする。
彼の背中に悲鳴嶼様は静かにこう説いた。
お前は、お館様のご意志に背くのか。と
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