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煉獄と炭治郎のすぐ後ろに何かきた。
この濃い鬼の気配。初めて感じるこの感覚。
きっと強い鬼だ!

ボクは危機迫る彼らの元へ急いだ。

煙が静まり姿が顕になる。
派手な髪色に紋様の浮かぶ肢体。
他の鬼とは明らかに纏う空気が違う。
一目で強者と分かる。
そいつは真っ直ぐ飛躍し拳を……ッ炭治郎!!!

ボクは拾った弟の刀を構え飛び出す。
斬りこんだ先には奴はおらず、後ろへ大きく飛躍していた。

腕に傷。ボクの攻撃じゃない。なら…

『ありがとうございます。炎柱様』
抜刀した煉獄の姿に、彼が炭治郎を守ってくれたのだと察した。
「……」
煉獄は敵から目を離さない。
いつでも攻撃に対応する為だ。

下から小さくボクを呼ぶ声が聞こえ目を落とすと、不安げに瞳を揺らす愛しい弟が。
ボクは跪き安心して欲しくて彼の頭をひとつ撫でる。
弟の口が一文字に結ばれ目が潤む。
もう少し我慢しててね。
今、終わらせるから。

守ってみせる。
今の気持ちはそれだけで十分だ。


意識を前に戻すと、煉獄と奴の冷戦状態が続いていた。

「いい刀だ」
奴が滴る己の腕の血を舐めとっている。
傷はもう無い。
再生力が桁違いに早い。
ボクが見られている訳でもないのに体にのしかかる圧迫感と緊張感、凄まじい鬼気。
少しでも気を緩めれば潰されてしまいそう。

「なぜ手負いの者から狙うのか理解できない」
煉獄に同意。

「話の邪魔になるかと思った。俺とお前の」
「君と俺が何の話をする?
初対面だが俺は既に君のことが嫌いだ」
「そうか、俺も弱い人間が大嫌いだ」
煉獄の質問に当たり前のように淡々と答えるこいつに段々と腹が立ってくる。
それでも感情のままに飛び出さないのは後ろに守る者があるから。

「…俺と君とでは物ごとの価値基準が違うようだ」
「そうか。
では素晴らしい提案をしよう」
鬼の出した提案は、煉獄の鬼への勧誘。
即答で断る煉獄だが、鬼の発言は止まらない。

「見れば解る。お前の強さ。柱だな?
その闘気 練り上げられている。
至高の領域に近い(・・・・・・・)

「俺は炎柱。煉獄杏寿郎だ」
煉獄は静かに応えた。

応えてくれたことが余程嬉しいのか、鬼はニタリと口角を上げ口を開いた。




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作者名:タートル | 作者ホームページ:http  
作成日時:2019年12月11日 20時

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