一途の種類もヒトそれぞれ ページ10
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今日ほどエミの存在のしつこさを欲したことは無い。そう、
「こんにちは、真澄君」
彼女とは違う光沢を帯びた青色の双眼が力強くこちらを見下ろしている。
その圧は凄まじく、自分の上だけが周囲の何十倍もの重力があるんじゃないかと錯覚させられるほどに重かった。
「最近、よく君の話を雫から聞くのですが、あの……
もしかして……好きとか言いませんよね？」
もう一度言おう。
今日ほどエミの存在を欲したことは無いと。
どんよりと厚い雲が空を覆い始める中でも、目の前の男性の美しさに曇りは微塵も無い。
癖のないプラチナブロンドの髪から放たれる甘い香りが鼻腔を掠め、宝石のように輝く青眼は意志強く、真っ直ぐこちらを向いている。
チャイナ服だろうか、黒で統一された異種族の服装が京都の街並みとミスマッチに映え、仕草のひとつひとつが完成されていて目を奪われる。
見る人全員が振り返る美貌が彼には備わっていた。
「……ああ、失礼。君には鳳凰さんがいましたね。
いえ、ただ鳳凰さんがいなくて、貴方が雫に好意を抱いていたとしたら……
──君は今、間違いなくこの世に存在していないでしょうね」
整いすぎる容姿は、人を恐怖へと誘うというが 今の真澄はまさにその状態だ。
ゴクリと生唾を呑む。
瞬きすら鬱陶しいと感じるこの現状を打破するにはどうすればいいか。
「真澄君、雫とは……「一切なんの関係もございません！」──よろしい」
真澄は幼いながらに思考を絞った結果は何とか成功。
ここで初めて目線が外され、真澄は束の間の息を吐いた。
そこへ
「──真澄くーん！！」
爆弾が突入。
爆弾こと
「この前 真澄くんが教えてくれたおかげで歴史のテストで良い点数が取れたよ〜」
ありがとね〜！
無邪気に手を振る度に、真澄の背中に冷や汗が伝っていく。
やめて！離れてくれ雫さん！
あわあわと開閉を繰り返す口から言葉が発せられることはない。
これが同級生やエミならば振り払っていただろう。けれど、年上で女性な雫にそれは出来ない。
変な所で発動した紳士な行動が今の彼の首を絞めていたのは言うまでもない。
「雫、その辺で勘弁してもらえないかい？」
アーサーが“待て”状態ですよー。
助け舟は唐突に現れた。
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