壱 ページ10
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浅葱色の着物に白の括り袴に白の脚絆。
全て男子用のだ。
髪も上でひとつに纏めて結い上げた。
おじさんには寒くないのかと聞かれたけど正直寒くもなんともない。痩せ我慢じゃないよ。ほんと。
『ありがとう』
ご飯も食べていけと言われけど、急ぐからと断った。代わりに握り飯を三つ貰った。
ほんと至れり尽くせりだよ。
何度も頭を下げて礼を言うと おじさんは子どもはわがままなくらいが丁度いいんだよ。と頭を乱暴に撫で回される始末。
ちょっ、頭が乱れるんだけど!
おじさんは笑っていた。
ボクは抵抗するのに必死で気づかなかったけど、おじさんはなんとなくボクがこの地を去ることに気づいていたみたい。じゃないとこんなに尽くしてくれないよね。
「気をつけて行けよ」
おじさんに見送られて真っ直ぐ村を抜ける。
途中、村の人達にも色々と貰った。
風呂敷持ってきておいて良かったかも。
ここで情報を整理してみよう。
まず、村の人達が最後に炭治郎を見かけたのは一年前。二日続けて降りてきたからよく覚えていたらしい。
一日目はいつも通り炭売りに。きっとあの日だ。
二日目の炭治郎は何やら慌てていたらしく、壊れた籠やら藁とかを買ってすぐに戻って行ったという。
その後はボクが降りてくるまで誰も竈門家の人は見ていないみたい。
これで確信した。炭治郎は生きている。
後は誰か。籠に入るのは末っ子達だろう。
禰豆子は……炭治郎とそんなに変わらないから籠には入らないよね。
じゃあ……
様々な思案が頭の中を駆け巡る。
そんな中でもボクの歩みは止まらず、前へ前へと炭治郎達を探しに雪道を進むのだった。
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