浮浪鬼【薄桜鬼 × 鬼滅の刃】 (ページ30)

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伍ページ30

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『では自分は次の任務に行きます』

「……ああ」
少し疲れたような顔をさせる風柱は納得のいかない様子。
まだ、ボクを疑っているんだね。
仕方ないことだけど悲しいな。

『風柱様、“例の物”は常時していますか？』
「ああ？」

“例の物”それは“ボクの血液”だ。

あの日、ボクの血か鬼に有効と話した後に蟲柱様に頼んで採血してもらい小瓶に入れ柱の皆様に渡したのだ。
因みにボクも己の血を用いて戦っている。
戦い方はまあ追々。

この血が鬼の傷口から内部に入れば内側から崩れ朽ちる。
初めてそれを知った時、自分が怖くなったのを覚えている。
これが、呼吸無くとも戦えている理由のひとつ。

誰かは分からないが、家族は知っているのかと聞かれた時は困った。
だって、こんな恐ろしいこと平和だったあの時に言えるはずがなかったからだ。
今だって炭治郎達には絶対に知られたくない。
本当はお館様以外には言いたくなかった。

一つだけ自分にも分からないことがある。
それは

“人に己の血を与えたらどうなるか”

怖くて口にも出せない。
それをしてしまったら、ボクは奴らと同類になってしまうという恐怖。

ボクはまだ、炭治郎と禰豆子の姉という人間でありたい。

誰にも言えない、ボクの願い。

ボクは風柱と別れ、次の任務場所へと足を進めた。

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