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「お前が来なくったって俺は一人でも殺れたんだよ!」
『……』
さっきからこればっかり。
助けた後 御堂に戻ってきたら何故かこの子も着いてきていた。
しかもちゃっかりボクのおにぎり食べてるし。
なんなのこの子。
不審げに目を向けると睨まれた。
あー嫌だ嫌だ。こういう子って構うとしつこいんだよね。
思わずため息が出る。
「何 ため息なんかついてやがる」
『キミがいるから「ああ!?」……なんでもありません』
こんなことなら放っておいて先に行けばよかった。
いや今からでも間に合う。行こう。そうしよう。
ボクは脳内で自己完結し実行に移そうとした時、男子が気になる言葉を聞いてくる。
「お前も鬼殺隊志望か」
『きさつたい?』
聞いた事が無い、何かの部隊だろうか?新撰組なら知ってるけど。
「なんだ…違うのか」
ならどうしてそんなに強いんだ。
『強くないよ。あれはただ不意をついただけ』
「あれが“鬼”だと知っていたか?」
『ぇ……鬼?あれが』
おじさんから夜になると人喰い鬼が出ると聞いたことがある。
炭治郎は子どもを叱る時の決まり文句だと真に受けていなかったけど。
本当に、いたのか。
ここにも“鬼の存在”が。
もしかして、あの夜の赤い目の主も鬼なのか?
これは詳しく聞かなければ。
『鬼について聞かせて!』
「おわっ!」
いきなり身を乗り出したからか男子は驚きに体を仰け反らせた。
人喰い鬼。
それは一人の鬼によって増え続けている人間の敵。
鬼は人の血肉を喰らい強くなるという。鬼はどんな致命傷を受けてもすぐに再生するらしい。
奴らを倒す方法は二つ。
ひとつはとある特殊な刀で首を斬り落とすこと。
もうひとつは日光を浴びせることだ。
そして、鬼を増やすことが出来る唯一の鬼の名は
『鬼舞辻……無惨』
最初の鬼にして事の発端。
もしかして、その人はボクと同じ鬼の一族の生き残りなのか?
ボクの心中はザワザワと気持ちの悪い波をさざめかせていた。
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