第 拾伍 幕 ページ6
.
『あれ、不死川くん?』
「!雪村さん?」
坂をおりると ばったり遭遇した不死川玄弥くん。
前回の任務後、途中で別れたっきりだったけど。
まさか 彼もここに来ていたなんて。
『これから温泉?』
「……はい」
どこかオドオドと視線をさまよわせている不死川くんが気になったけど、鴉が早く早くと急かすから足を止められず話も聞けなかった。
代わりに
『上に先客いるからー』
聞こえたのかは分からないが、遠目に頭を下げているのが見えた。
....
少し歩いて、ひとつの鍛冶屋の屋根に鴉が止まった。
戸の前には
「お待ちしておりました」
若い女人。
見たところ炭治郎や禰豆子くらいの年。
この里の子だろうか。
「どうぞ、師匠が中でお待ちです」
『(師匠?)ありがとうございます』
ボクは、彼女に違和感を感じたけど
促されるままに戸を引き中へ入った。
中には
「雪村様、お待ちしておりました」
『ご無沙汰しております。金剛寺殿』
この里特有のひょっとこ面を被った男性がいた。
ボクの刀を作ってくれている鍛冶師。
今は預けている二対の太刀を研ぎ直してもらっているはずだけど。
「お呼び立てして申し訳ございません。
実は先日から打ち直している二対の刀ですが……」
どこか落ち着きが無い彼に不安が募る。
『!何か不都合でも…』
あれは雪村家に伝わる名刀だ。
きっと刀身の鋼は特殊だろう。研げなかったのか?
「その逆です。この刀の刀身は日輪刀を作るものと同様…いや、それ以上の日光の力を宿しています」
私もこんな刀は初めて目にしましたよ。
言いながら取りだしたのは短い方の太刀【
『本当ですか!』
またとない朗報に思わず声を上げてしまった。慌てて口を抑えると目の前に小通連が差し出される。
姉さんが持っていた小太刀か。
手の上に乗った小さな重みに心が締めつけられる。
「もう一対の刀はまだ途中でして、あと少しお時間をもらいたいの」
『構いません。よろしくお願いします』
被せるようなボクの即答に金剛寺殿は唖然。
お面で表情は見えないけど。
数拍おいて了承の言葉を吐くと
今度は興奮気味に鍛冶場へと向かった。
未知の刀身を研げることがよっぽど嬉しいみたい。
少し圧倒された。
渡された
内なる高揚感が体を伝いなんだか身が引き締まる思いだ。
姉さん……
ボクは戦います。
.
終わり ログインすれば
この作者の新作が読める(完全無料)
←参
258人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
抹茶って美味しいよね(プロフ) - 最新されるのを待ってます!面白いですし、続きが気になります!頑張ってください!! (2020年5月25日 9時) (レス) id: 8bfe17f4aa (このIDを非表示/違反報告)
桜彩 - 続きが楽しみです!頑張ってください! (2020年5月2日 23時) (レス) id: bb1ea0f399 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ