君と、恋の話がしたい。 (ページ20)

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成瀬A。

第一印象は、俺の中で特別他の女子と変わらない。
楽しそうにしているなぁとそんな印象。
きっと見た目は、誰から見ても可愛らしいといえるだろう。
と、いうかそうだ。
クラスの奴らがよく言っている。
彼女自身はあまり男子と話さないけれど。

クラスでは目立った方でもなかったし、
小さな輪の中で小さな楽しみを見つけて生活しているタイプ。
どちらかといえば、俺もそう。

俺のクラスで目立つ奴といえば、永瀬とか長妻とかその辺の奴らを指すのだろう。
あの二人はサッカー部だし、何よりルックスが良い。
だけど別にそれが羨ましいとかそんな事はなかった。
そんな事、俺には関係のない事だ。

廉「なあ、そう思うやろ。ながつ！」

こういう奴は馬鹿みたいだと思う。
声をあげて、注目されて。
それが嬉しいのか気持ちがいいのか知らないけど。
誰かに存在意義を認められなければ、成り立たないような。そんな奴ら。

「ごめん、消しゴムそっちに行っちゃった」

だからこの人は人よりいいなあと思う。
こんなに綺麗な顔をしていながら、生まれながらに与えられたその特権なんてものを利用しようとだってしないし。
それに、馬鹿じゃない。

海「はい」

「ありがとう」

シンプルでいい。
下心なんてものがなくていい。
ちゃんと自分を律しているところがいい。

だけど、だからと言ってそれまでだ。

俺は大概人に興味がない。
悩みのなさそうな奴らを見ていると腹立たしくなるだけだから。

だけど本当は、一番のその感情の原因は自分自身にあるのだけれど。

こんな大口を叩いておきながら、
俺だって孤独になる事だけは避けて生きているから。
俺の周りにはいつだって誰かがいるし、意地悪を受けることもない。

変な優しさをみせたつもりはないけれど、女子達にはそれがクールだという解釈をされた。
俺が嫌いなそこそこな人気者、に見事に成り上がる。

人の事は散々馬鹿にする癖に自分だって同じようなもんだ。

誰からも認められなくたっていい。

そんなのただの俺の強がりだ。

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