5話 ページ7
一方彼はというとにこりと口角を上げる反面で、私を見つめる瞳はどこか冷ややかだった。
まあ、それが普通の反応か。
「彼女はA。数刻前に挙がった例の事件で雇われていた冒険者だ。」
「…ほう。そいつはとんだ災難だったな。」
少しばかりの警戒が解かれた代わりにガイアは私に同情の眼差しを向けた。
「俺は西風騎士団騎兵隊長のガイア。よろしくな。
モンドで困ったことがあったら俺に話すといい。力になるぜ。」
どういうわけか良心からというより、私の情報を探ろうと思案するセリフにしか聞こえない。
底のみえない彼だったが、彼が「騎士」ならば仲良くしないわけにもいかなかった。
「よろしくお願いします。」
ガイアは「ところで…」とジンに話を切り出した。
「代理団長様はこんな夜分に一体なにをしているんだ。」
すぐベッドに向かいたい私を余所に彼らは長々と話し始める。
「ああ、実はあの件の事後処理の関係で彼女をこんな時間まで拘束しまってな。
寮に丁度空き部屋もあったことだし、一晩泊まってもらおうと案内していたところだ。」
「ああ、あそこか。」
「そうだ。何か問題でも――」
「いや、―――それは―と、その案―役、俺が――――。」
「いい―か？…てっきり、どこ――。」
「そう――」
何が原因だったのだろうか
急に糸がぷつんと切れたように、騎士二人の姿がぐにゃりと眩み、体から力が抜け落ちてしまった。
とっさに誰かが私の体を支えて持ってくれたが、自力で起き上がれそうにない。
「―い、―りしろ！」
「――っ！！」
チュンチュンと鳴く声に、不思議と意識が浮上した。
窓からは暖かな日差しが差し込み、ベッドはふかふかで気持ちよい。
なんてのどかで最高の朝だろうか――ってそうじゃない！
目が覚めた私は慌てて飛び上がった。
久しぶりの屋根の下での熟睡に感動する前に冷や汗を垂らす。
「おっと、ようやくお目覚めか。」
聞き覚えのある声に顔をあげて、彼が私のそばにいたこと気づいた。
しかし、側で椅子に腰を掛けていた眼帯の男のアイスブルーの瞳は丸くする。
「…お前、その目」
慌てて自分の顔を触る。
まずい。
仮面をつけてないことに気づいた私は、下を向いて手当たり次第に仮面を探した。
「ああ、すまない。邪魔だったもんで外したんだ。」
これを探してるんだろう？
そっと私のお気に入りの仮面を渡してくれた。
恐る恐る受け取って身につける。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 128人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
沙稀乃(プロフ) - Dorothyさん» こちらこそ、読んでいただきありがとうございます！！とっっても嬉しいです！！また、ネタが降りてきたら、第二部みたいなのを一気出しをしますので、その時はよろしくお願いします！！(*^^*) (11月26日 12時) (
レス) id: 5e2cd7ca09 (このIDを非表示/違反報告)
Dorothy(プロフ) - 推し×ヤンデレ大変誠にありがとうございます、毎秒更新楽しみにしております最高 (11月25日 21時) (レス) @page26 id: 7168971a27 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：沙稀乃 | 作成日時：2023年11月24日 17時
