4話 ページ6
検問する騎士を上手く誘導して貰えるよう城内の間者に賄賂を渡していたらしいが、時間がかなり限定されていたらしい。
つまり、時間通りに来なかったせいで今回ボロが出てしまい、彼の企みがバレたということだ。
なんて迷惑な話だろうか。
道中、地図を見ながら懐中時計を何度も見て無理難題を押し付けてきたこと、馬車の修理をする際私に荷車の中の確認をさせなかったこと、検問の前で商人が西風騎士に少しだけ顔を強張らせていたこと諸々の挙動不審な態度に説明がつく。
ちなみに、冒険者協会から急遽代わりを頼まれただけの私がシロであることはすでに明らかになっている、とのことだが…。
潔白の証明のためにも間接的に関わってしまった私の話を聞いておきたい、というのが騎士団側の要求であった。
冤罪でもなく、単純な情報提供…。
相手はモンドに住まう人々の平和のために働いているんだ。敬意を払うべき相手に違いないのだから、どうにか頭を持ちこたえつつ、情報提供に全力を注ぐことにしたわけだ。
そうして、一段落ついたところで、気の抜けた私はぐらぐらと目を回し始めていた。
今なら敵の巣の中でも悠々と眠れそうだった。
とっくに限界を迎えていた私の事情を知っていたのか、「君さえ良ければ、騎士団に泊まっていかないか。」とジンから提案を受けた。
興奮のあまり声を荒げてしまう。
「いいんですか…っ!?」
「もちろん。
いくら緊急だったとはいえ、こんな夜更けに呼んでしまったんだ。そのぐらいのことはさせてほしい。」
ジンは胸に手を当て、私を真っ直ぐに見つめる。
願ってもない幸運だった。
嘘や方便でもない優しい言葉に思わず頷くと、彼女は「案内しよう」と人の良さそうな笑みで微笑み、その椅子から立ち上がった。
彼女に連れられるまま騎士団の中を進む。
どうやら貸してくれる部屋は、寮の空き部屋らしい。騎士たちの普段使ってる部屋を貸してくれるなんてなんて気前の良い代理団長だろうか。
「あれは…。」
彼女はピタリと足をとめた。
「よう、代理団長。」
そう声をかけてきたのは、褐色の肌に眼帯の男だった。
どうやらジンと知り合いらしい。…その風貌から、恐らく騎士だろう。
菱形の瞳孔がやけに印象的だった。
「―と、ここら辺じゃあ見ない奴だな。」
じぃっと見ていたら不意に目が合ってしまった。…まじまじと観察するのは失礼だったな。ペコリと頭を下げ、少し反省する。
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沙稀乃(プロフ) - Dorothyさん» こちらこそ、読んでいただきありがとうございます!!とっっても嬉しいです!!また、ネタが降りてきたら、第二部みたいなのを一気出しをしますので、その時はよろしくお願いします!!(*^^*) (11月26日 12時) (レス) id: 5e2cd7ca09 (このIDを非表示/違反報告)
Dorothy(プロフ) - 推し×ヤンデレ大変誠にありがとうございます、毎秒更新楽しみにしております最高 (11月25日 21時) (レス) @page26 id: 7168971a27 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沙稀乃 | 作成日時:2023年11月24日 17時