3話 ページ5
「…ありがとう。でも、本当に大丈夫。」
「そっか…。」
何日にも渡る疲労がかなり蓄積はしているけれど、野宿は手慣れている方だ。
何も問題はない。
「君の選択に、風の祝福があらんことを…。」
「え、…」
そう言って離れた彼を呆然と見下ろす。
「また会おうね。おねーさん。」
しかし、何事もなかったかのように、彼は笑みを浮かべ、私を送り出した。
「…??」
変な感覚だった。
さっきの接触で、モラや値打ちのある物を盗られたわけでもないのになんでこうも彼に対して違和感を感じるのだろう。
杞憂かな?
…不思議な少年だなと、この場をあとにした。――否、去ろうとした。
「そこの女性の方、待ってください!」
急に後ろの方から、ガシャガシャと金属音を鳴らした誰かが走って近づいてくる。
「良かった。まだモンド城にいらしたんですね。」
「あ、」
振り返るとそこには、モンド城に立ち入るとき色々と世話になった騎士がいた。名前は知らない。
そういえば、検問の時、私はすんなり入れたのに、あのクソ商人はなかなか城内に入れなかったっけ…?
いや、そんなことよりこんな夜中だというのに、騎士は働いているのか。
真面目だな。休憩してるのかな?
ーーって、ちゃんとしないと。
疲労でいらないことを考え始めた頭を横に振って、背筋を伸ばした。
「突然で申し訳ないんですが、我々騎士団本部まで来てくださいませんか。」
「え、………えぇっ!?!?」
疲労している脳みそをなんとかフル回転して考える。
モンド城に立ち入るとき、私は何かしてしまったのだろうか…?そうでなければ、こんな夜更けに騎士団本部に呼ぶはずがない。
でも、そんな過ちを犯してないはすだ。
「ああ、大丈夫ですよ。誤解なさらないでください。実は――」
説明を受けた私は、騎士団本部の中へ連れられ、
自分が知っていることを洗いざらい説明することになった。
一通り話し終わったあと、机越しに話を聞いていた清潔そうな服を身にまとった金髪の女性は微笑む。
「改めて、君の協力に感謝する。」
なぜこんなことになったかといえば、――私の雇い主であった例の商人である。彼はなんと国交間で厳しく取締しなければならないいわゆるちょっとまずい品を持ち込もうとしていたことが判明したのだ。
…検問の際はなんとか上手く誤魔化せてらしいが、荷車が破損していたことも祟ったらしい。
私が報酬を貰ってその場を離れた辺りで、事が発覚したそうだ。
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沙稀乃(プロフ) - Dorothyさん» こちらこそ、読んでいただきありがとうございます!!とっっても嬉しいです!!また、ネタが降りてきたら、第二部みたいなのを一気出しをしますので、その時はよろしくお願いします!!(*^^*) (11月26日 12時) (レス) id: 5e2cd7ca09 (このIDを非表示/違反報告)
Dorothy(プロフ) - 推し×ヤンデレ大変誠にありがとうございます、毎秒更新楽しみにしております最高 (11月25日 21時) (レス) @page26 id: 7168971a27 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沙稀乃 | 作成日時:2023年11月24日 17時