知らなくてもいい話2 ページ28
あの頃の僕はそんな悠長な判断をしたが、…それは早々に後悔することになった。
執行官と遭遇し、僕らは離れ離れになった。
目を覚ます頃には、庇ったはずの彼女はいなくなり、代わりに残ったのは、彼女が身につけていた外套と耳飾りだけ。
彼女はいなくなった。
僕に応急処置をしたという「観察者」に話を聞けば、彼女は安全な場所に僕を避難させたあと、そのまま執行官と遭遇した場所へと戻ったらしい…。
君はなんでいつも無茶なことばかりするんだ…！
居ても立ってもいられず、すぐに現場へ戻ったが…、既に何もかもが終わったあとだった。
辺りをくまなく探したが、争った形跡はあっても、そこに死体はない。
…生き延びているはずだと、そう必死に思い込んだ。
彼女のいる日々から、元のいない日々に戻っただけなのに、…なぜこうも色褪せていくのか。
ポッカリと空いた穴を埋めるように、残った彼女の物を胸に抱き寄せても心は満たされなかった。
目が覚めてもあの子は側にいない。
隣を見てもはにかむ少女はいない。
ひだまりのように冷えきった心を暖めてくれた彼女はどこにもいない。
以前モンドで味わった喪失や絶望とは別の感情が僕の中で燻っていく。
何なのだろう、これは。
君に会いたい。
抱きしめたい。
その頬に触れたい。
その髪を撫でたい。
その唇に口づけをしたい。
耳元で愛を囁きたい。
愛…？
ああ、そうか。
僕は、…どうしようもないほどに君が好きなのか。
消息不明の彼女の安否を心配しているのは、守ってあげたいという庇護欲からではなかったのだ、
「好き」を自覚してしまえば、今までに抱いていた自身の感情に対して納得できてしまう。
寂しげに笑う彼女を無意識に抱きしめていたことも、微笑む彼女になぜか胸が締め付けられたことも、僕以外の人物に興味を持った彼女に嫉妬心を抱いたことも、彼女ともっと一緒にいたいと思ったことも、彼女に触れると喜びの他にも仄暗い情欲が湧いたことも…、すべて納得がいく。
しかし、「恋」とは優しく甘いものだとどことなく想像していたが、自分のコレはどうも違う。
ほしい。
彼女のすべてがほしい。
他を蹴落としても…と考えてしまう時点で、もはや恋情すら通り越して執着と言う言葉の方が似合う。自身の中で渦巻くソレはまごうことなく彼女への醜く浅ましい劣情だ。
モンド一の紳士と謳われた「ディルック・ラグヴィンド」は一体どこにいったのだろうかと笑いが込み上げてくる。
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沙稀乃(プロフ) - Dorothyさん» こちらこそ、読んでいただきありがとうございます！！とっっても嬉しいです！！また、ネタが降りてきたら、第二部みたいなのを一気出しをしますので、その時はよろしくお願いします！！(*^^*) (11月26日 12時) (
レス) id: 5e2cd7ca09 (このIDを非表示/違反報告)
Dorothy(プロフ) - 推し×ヤンデレ大変誠にありがとうございます、毎秒更新楽しみにしております最高 (11月25日 21時) (レス) @page26 id: 7168971a27 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：沙稀乃 | 作成日時：2023年11月24日 17時
