24話 ページ26
「積極的なんだな…。」と変なことをボソボソと言い出したが、なんの話かよくわからない。
手を見つめることが積極的だと言うのか…？
ここ数年でディルックはより上品かつ男前になったと思う、が、さっきから変な馴れ合いが多いのは何なのだろうか。
…前々から彼が真面目で堅物なのは知っていたので、たまにストレスではっちゃけるのも無理ない話…と、労りたい気持ちはある。
でも、"女性"である私にかなりベタベタと触ってくるのは少し戯れが過ぎる。気心のしれたディルックでなければ全力で拒んでいただろう。
…あとで、よく注意しなければ。
このままアカツキワイナリーへ行こうとディルックはその方角へ足を向けたが、「あぁ、…そうだ。」とディルックはおもむろに不自然なことを言い始めた。
「君の名前を、僕に教えてほしい。」
「え？」
私の名前なんて既に知ってそうなのに、なぜ今更そんなことを聞くのだろうか。
きょとんとしていると、ディルックは笑みを浮かべる。
「君の口から君の名を聞きたいんだ。」
その赤く情熱的な瞳は、初めて私と相対した時の敵意を向けた冷酷な眼差しとは異なっていた。
「君の言葉で、君の話を聞きたい。
名前以外にも沢山聞きたいことが沢山あるんだ。
林檎が好きなのは知っているけれど、それ以外に好む食物や嫌いな料理は？あぁ、それから君の生誕がいつなのかも知りたい。実はずっと知りたかったんだ。
これから二人の時間も増えるだろうから、君の趣味や君の不得意なことも把握したいな。
…そういえば、君の言葉は見違えるほど流暢になっていて驚いたよ。本も読めるとリサから聞いた。――僕以外の誰から言葉や文字を教わったんだい？
……まぁ、それは別の機会でゆっくり話そう。
とにかく、君の口から語る話ならなんでも構わない。
僕は、君のことをもっと知りたいんだ。」
珍しく饒舌になったディルックの言葉をうまく飲み込むので精一杯だ。
「えっと、つまり…？」
そう尋ねた私を、ディルックは咎めはしなかった。
「すまない。
もっとわかりやすくしよう。」
テイワットの大きな満月や、風で揺れる草原なんて見飽きてるはずなのに、この瞬間だけなぜかディルックを中心にゆっくり時間が流れて見える。
ディルックは草原に片足をついて、繋がれた手を自身の口元にそっと寄せるなり、手の甲に口づけを落とした。
思わず赤面したのは、言うまでもない。
「美しいお嬢さん。どうか僕に君の名前を教えくれませんか？」
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沙稀乃(プロフ) - Dorothyさん» こちらこそ、読んでいただきありがとうございます！！とっっても嬉しいです！！また、ネタが降りてきたら、第二部みたいなのを一気出しをしますので、その時はよろしくお願いします！！(*^^*) (11月26日 12時) (
レス) id: 5e2cd7ca09 (このIDを非表示/違反報告)
Dorothy(プロフ) - 推し×ヤンデレ大変誠にありがとうございます、毎秒更新楽しみにしております最高 (11月25日 21時) (レス) @page26 id: 7168971a27 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：沙稀乃 | 作成日時：2023年11月24日 17時
