21話 ページ23
私は、彼に会いたくないのか？
……いや、そんなのわかりきってる。
彼は私のトラウマだからだ。
彼が目の前で庇って死にかけたあの日
私は確かに、彼に死んでほしくない。と、連れて行かないでほしい。と、必死に祈っていた。
…だが果たして、彼自身の幸せと明るい未来を本当に願っていたのか？
否、―違う。
既に歪んでいる私はそんな純粋な気持ちでいたはずがない。
ならば、どうして―？
そう考えた時、私は私の中で生まれていた醜い「欲」に気づいてしまった。
独りぼっちの自分に戻りたくない。
そんな浅ましい欲を根底に私は「彼を助けたい」と願っていた。
酷く滑稽な話だ。
―幸せになるためにではなく、誰かの幸せを願う善人であれ。
初めて手を染めた時、私はそんな偽善を胸に強く刻んだ。どんなに汚れてしまってもその志だけは、穢れることなく高潔であろうとしていた。
でも、私の正義は歪んでしまった。
誰かを必要として依存していく私の醜い一面を、誰にも見せたくない。見せるわけにはいかない。
強くありたいのに、私はいつも臆病だった。
だから、囮という建前を使って彼から逃げた。
「捨て身」の方法だって手札にはあった。心臓を貫かれても、奴の手足のどこかを切り落とせばいい。そうすればきっと彼にトドメををさすことはできないだろう。
…それに、自らの身体を差し出し、実験サンプルになることだってできた。あの敵は私の身体に少しばかり興味をもっていたのだから。
でも、結局私は逃げるという愚鈍な選択を選んだのは、彼に幻滅してほしかったからだ。
敵を前に自分を捨てて逃げたと思ってほしかった。
彼は優しいから、私が負傷することに負い目を感じるだろう。そして義理堅いから、きっと私を助けようとする。
でも、敵前逃亡を図れば私を嫌ってくれる。二度と会おうと思わなくなる。
そうなれば、彼と離れられる。彼が傷つく姿をもう二度と見なくて済む。
…どんなに強くなろうと努力しても、誰も助けられない残酷な現実に胸を痛む必要もなくなるんだ。
「…ごちそうさまでした。」
私は丁度のモラを置いて席を立つ。
ガイアはやはり止めようとはしなかった。
逃げよう。
さっさとここから離れようと、私は酒場の出口へ向かって歩き、ドアノブに手を伸ばす。
――が、それを開けることは叶わなかった。
バタンッ！！！
突如、勝手に開いた扉と同時に視界に飛び込んだ見覚えのある赤髪にヒュッと息を呑む。
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沙稀乃(プロフ) - Dorothyさん» こちらこそ、読んでいただきありがとうございます！！とっっても嬉しいです！！また、ネタが降りてきたら、第二部みたいなのを一気出しをしますので、その時はよろしくお願いします！！(*^^*) (11月26日 12時) (
レス) id: 5e2cd7ca09 (このIDを非表示/違反報告)
Dorothy(プロフ) - 推し×ヤンデレ大変誠にありがとうございます、毎秒更新楽しみにしております最高 (11月25日 21時) (レス) @page26 id: 7168971a27 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：沙稀乃 | 作成日時：2023年11月24日 17時
