20話 ページ22
おまけに、戦法については元暗殺家業なのもあり、どちらかと言われると卑怯だし泥臭い戦いだ。少なくとも騎士のような戦い方はしないので、美しくはないだろう。
最後の微笑みについても、同じことが言える。
私の顔は平均的なので、微笑んだところで何も変わらない。
…というか慈愛に満ちた顔ってなに？
「『よって、このテイワットを探し回っても彼女より愛しい人はない。』…と、あいつは豪語していた。」
「…どう考えても私ではありません。絶対人違いです。」
すぐさま反論すれば、ガイアは「ハハッ、……でも、何をどう感じるかは人それぞれだろう？」なんてことを言った。
「少なくとも、俺はお前とこうして面と向かうと、長々と語ってたあいつの思い人のことを嫌というほど思い出した。」
「…黒髪と赤い目に引きずられただけだと思います。」
しかし、ガイアは私のこの返答すら予測していたようににんまりと笑う。
「―だから、お前をここに連れてきたんだ。」
思わず頭を抱えた。
「……まさか」
ガイアの言う知人とは、
ああ、まさか…。
いくら鈍くても、ここまでくればわかるだろう。
会話の端々でなにか可笑しいとは思っていた。
彼が私の素顔を見て驚いた本当の理由を、今になって理解する。
このテイワットに黒髪と赤い目の女の人はきっといくらでもいるが、その独特な言い回しの特徴は私とぴったりと合致していたからだ。
なぜ、ガイアが酒場に入る前のあの路地で私に恋人について尋ねたのか？
簡単だ。"最悪な状況"を回避するためだ。
そうだ、あのそばには城門があった。
もし、『いる』と答えれば、あそこから逃されたのだろう。
そして、チャールズにディルックの所在を問うたのも…、ディルックがここに戻ってくる可能性を確かめるため。
…もちろん彼と私を引き合せるために。
極めつけは、ガイアの喋りだろう。
あの会話はどこか長引かせているようなゆったりとした語り口で、一種の時間稼ぎだった。
そして、私に事の詳細を理解させ、逃げ場のない選択を与えたのだ。
点と点が結ばれていき、理解していく。
これは、つまり、……彼の正体は、この人たちのいう「ディルック」のことだ。
…生きて、たんだ。
良かった。
純粋にその事実を嬉しく思った。
ああ、でも…。
私は彼が生きていることを嬉しく思う反面で、早くここから出ていかなければならない焦燥感に駆られていた。
――なぜか、会いたいと思わない。
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沙稀乃(プロフ) - Dorothyさん» こちらこそ、読んでいただきありがとうございます！！とっっても嬉しいです！！また、ネタが降りてきたら、第二部みたいなのを一気出しをしますので、その時はよろしくお願いします！！(*^^*) (11月26日 12時) (
レス) id: 5e2cd7ca09 (このIDを非表示/違反報告)
Dorothy(プロフ) - 推し×ヤンデレ大変誠にありがとうございます、毎秒更新楽しみにしております最高 (11月25日 21時) (レス) @page26 id: 7168971a27 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：沙稀乃 | 作成日時：2023年11月24日 17時
