16話 ページ18
時間が少しでも違えば、目の前にいたのはチャールズではなく、そのモンドの酒造権を掌握している「ディルック」だったかもしれないのに…。
…嫌な話だ。
貴族のような傲慢な男とは関わりたくないのだと前もって伝えればよかったかもしれない。
……いや、言ったところで、理由を吐かされるのがオチだろう。
思い出したくもない嫌な記憶を思い出し、吐き気を覚えた私は紛らわすようにアップルサイダーを一気に飲みほす。
「それで、私をここに連れてきたのは、どうしてですか？」
尋ねてみれば、彼は目を細め「お前と話をしたいからさ。」と穏やかに答えた。
私を見つめるその目は、初めて会った時のような疑惑を向ける眼差しではないが、――今は値踏みしているようにも見えるのだ。
まるで私の中から何かを探り当てたがってるような…そんな目。
正直あまり心地良いものではない。
でも、私も彼の目的が些か気になっていた。彼は胡散臭いけど、悪人というわけではないのだから。
しかし、ここに連れてきたのも恐らく何らかの意図があるはずだ。
「実は、俺の知人が人を探していてな。」
「……えっと？」
一体全体なんの話をしているんだ。と問いただしたくなる。
「まぁ、そう答えを急がず最後まで話を聞いてくれ。」
困ったように笑ったガイアは話を続けた。
「その男は4年ほど前にモンドから出ていって旅をしていたんだが、…つい半年前戻ってきたのさ。」
4年ほど前…。つまり、私がこの世界に降り立ち、名も知らないあの青年と旅をしていた時期とほぼ重なる。…もしかしたら、彼との旅の中でガイアの言う知人と知らないうちに遭遇したことがあるかもしれない。
「―だが、モンドに帰還してからは、舞い込んでくるすべての縁談に『心に決めた女性がいる。だから今後一切そのような申し出はご遠慮願いたい』ときっぱり跳ね除けるようになった。」
「それってつまり…」
その道中で、良い人と会ったということか。
「察しがいいな。」
「…でも、それと探してる人がいるのとどういう関係が？」
いかにも、旅をして良かったね。で終わりそうな話だ。
ふっと彼は笑う。
「面白いのはここからなんだ。」
「…はぁ。」
「その話を聞いて俺は安心したんだが、……ぜひあの男を射止めた例の女性に一度お目にかかってみたいとも思った。
だから、接触の機会を伺って何度か屋敷を訪れた。…が、それは無念なことに叶わなかった。なぜだかわかるか？」
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沙稀乃(プロフ) - Dorothyさん» こちらこそ、読んでいただきありがとうございます！！とっっても嬉しいです！！また、ネタが降りてきたら、第二部みたいなのを一気出しをしますので、その時はよろしくお願いします！！(*^^*) (11月26日 12時) (
レス) id: 5e2cd7ca09 (このIDを非表示/違反報告)
Dorothy(プロフ) - 推し×ヤンデレ大変誠にありがとうございます、毎秒更新楽しみにしております最高 (11月25日 21時) (レス) @page26 id: 7168971a27 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：沙稀乃 | 作成日時：2023年11月24日 17時
