12話 ページ14
ガイアは口元に手をあてる。
「……観光、か。」
「どうしたんですか？」
「いや、何でもないぜ。
しかし、観光か。それなら俺も色々と力になれそうだな。
あぁ、そうだ。このあと時間はあるか？
話をするのに、うってつけの場所があるんだ。案内しよう。」
「え、…――あ。」
突然の誘いに困惑していると、ふと、彼の後ろで私と同じように戸惑っている様子の騎士がガイアを見ていた。
…待てよ。
ここって騎士団本部前じゃないか。
あの騎士はもしかしなくともガイアの部下で仕事を遂行していたのではないだろうか。
「今、お仕事中ですよね？でしたら、またの機会にー」
私が言い切る前に私の左手を握るや否や「そうか、時間はあるんだな。」と言う。
「え」
「それじゃあ、後のことは頼んだぞ。」
「ガイア隊長！？」
ガイアは私の了承など聞く間もないまま、部下の騎士すら置いてけぼりにして、その場から離れた。
彼は私の左手を掴んだまましばらくゆっくりと歩いていた。
「あの、いいんですか？」
彼の部下らしき騎士の先程の慌てぶりに少し心配になるが、「なに、俺がいなくとも問題ないさ。丁度解散するところだったからな。」としれっとした顔で話を流した。
騎士団本部から離れたところで彼は手を放すと、「こっちだ。」と道の脇へと進み始めてしまう。
私は人肌でぬるくなった左手を呆然と見つめてしまう。
そう言えば赤髪の青年も私の左手をいつも引いてくれてたっけ…。
まあ、そういうときはだいたい私が何かをやらかすのを未然に防ぐものだったり、街中で迷子にならないように、だったけれど。
でも、『おいで。』と声をかけてくる彼の顔は硬いのに、いつも優しい声だった。
「どうした？」
ガイアに呼ばれた私は、慌ててその後をついていった。
日が落ち始め、昨日と同じく街灯にぽつりぽつりと明かりが灯り始めいくが、違うのは脳がはっきりとしていることだろう。
初めて味わうモンド城の夜に少しだけワクワクと胸が踊っていた。
ガヤガヤと騒がしくなる方へと向かう中、ガイアは足を止める。
「―念の為一つ聞いておきたいことがあるんだが。」
「…？はい。」
振り返ったガイアはとても真面目な顔をしており、初めて見るその顔に少し胸がどきりとする。
「……お前には、生涯を誓った恋人、もしくは添い遂げたいと思っている人がいるか？」
「は？」
脈絡のない話に、思わずドスのきいた低い声が響く。
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沙稀乃(プロフ) - Dorothyさん» こちらこそ、読んでいただきありがとうございます！！とっっても嬉しいです！！また、ネタが降りてきたら、第二部みたいなのを一気出しをしますので、その時はよろしくお願いします！！(*^^*) (11月26日 12時) (
レス) id: 5e2cd7ca09 (このIDを非表示/違反報告)
Dorothy(プロフ) - 推し×ヤンデレ大変誠にありがとうございます、毎秒更新楽しみにしております最高 (11月25日 21時) (レス) @page26 id: 7168971a27 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：沙稀乃 | 作成日時：2023年11月24日 17時
