頭脳派が集まるとこうなる 桜井美咲 ページ46
時刻は午前九時。科学屋の営業時間は二十四時間だが、今日も今日とて科学屋に人は来ない。それは日常だ。
「久し振りに狂花の所に押しかけますか」
ならば自分から人に会いに行けばいいじゃない、という単純な発想のもと、私は科学屋店舗兼住宅の扉に『本日臨時休業』と貼り紙を貼って家を出た。私の親友にして盟友、誇り高き引きこもりの白檮山狂花は、霧の湖の側に檮山庵という家を持っている。霧の湖を目印に
「狂花ー、来ましたよー!元気してましたかー?」
視界に飛び込んできたのは見知らぬ少女が二人、紫髪の少女と黒髪の少女がこっちを見ている。まさか先客が居たのだろうか。あの内向的で厭世家な狂花が、自宅に客人を招くなどという事が起こったのだろうか。
「……ええと、狂花のお知り合いですか?」
「まあ、そんな所だね」
「クソ、ロリじゃない……けどこれはこれでアリかも」
私がしばらく土間に立ち尽くしていると、奥から狂花が出てきた。
「ん、美咲か。あがってくれ。今珈琲を出そう」
「わかりましたー」
狂花の言葉ににっこり笑って返事をして、私は靴を脱ぐ。部屋の真ん中に置いてあるローテーブルの側に座り、先客の二人にぺこりと頭を下げた。
「初めまして。私は狂花の友人で、桜井美咲と言います。樹木の桜に井戸の井、美しく咲くと書いて桜井美咲です。魔法の森の方で『科学屋』というものをさせて頂いています。何か悩み事がございましたら是非お越し下さい」
「私は小虎白華。しがない絵描きだ。狂花にはここで絵を描かせて貰ってる。なかなか良いアトリエだからね」
「あ、私はディアボロ・エックスバレットね。住所不定無職、趣味はかわい子ちゃん探し!よろしくー」
白華さんとディアボロさんが順に言う。狂花が家にあげる事を認めるくらいだから、さぞや頭の切れる二人なのだろう。その時丁度狂花が私の前に珈琲を置いたので、私は一口飲んでから言葉を返した。
「白華さん、ディアボロさんですね。よろしくお願いします」
「あ、そうだ。この二人なら多分君の科学談義に参加できると思うんだが、少しやってみないか?」
「おお、良いんですか?ではまずお聞きします。超対称大統一理論の証明は、幻想郷において可能だと考えますか?」
それを皮切りに始まった科学談義は、素晴らしい論客によって数時間もの白熱した議論となった。
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うp主こと東方好き死神まお(別アカ) - さっきさん» ありがとうございます! (2022年8月19日 13時) (レス) id: d45d880fd4 (このIDを非表示/違反報告)
さっき(プロフ) - 更新しました!あと、お話がいっぱいなので新しく作っておきます! (2022年8月19日 13時) (レス) id: cc7395c068 (このIDを非表示/違反報告)
さっき(プロフ) - 更新します! (2022年8月19日 12時) (レス) id: cc7395c068 (このIDを非表示/違反報告)
フウ(プロフ) - 更新しました! (2022年8月19日 12時) (レス) id: b910a0dd1c (このIDを非表示/違反報告)
フウ(プロフ) - 更新します! (2022年8月19日 12時) (レス) id: b910a0dd1c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サナティ x他5人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/
作成日時:2022年8月6日 9時