芸術家と読書家 白檮山狂花 ページ37
一通りの異変が集結したのち、幻想郷は『大決闘祭』という催しの為に浮き立っていた。が、そんな浮かれた空気は狂花には一切影響を及ぼさない。わいわいと盛り上がっている人里の空気を静観しつつ、狂花はいつも通り檮山庵で読書をしていた。―――のだが。
「やあ、私は小虎白華。しがない絵描きさ。突然だが、私はここで絵を描きたいんだが、いいか?ここで絵を描けば、きっと集中できるし、いいものが描ける。この要望を飲んでくれるのなら、私は君の願いをなんでも聞こう。どうだ?―――白檮山狂花」
紫髪に青い瞳、銀縁の片眼鏡が特徴的な少女―――小虎白華は、あろうことか檮山庵の扉を蹴破って不法侵入してきた。白華の提案する見返りは狂花にとってどうでも良い事だったが、白華程の変わり者ならばさぞや面白い話が聞ける事だろう。それに抵抗した所で白華は武力行使に出るだろうし、そうなれば狂花に勝ち目はない。
「別に構わない。僕は下らない話をする人間と愚かな人間が嫌いだが、君はそのどちらでもない。絵が描きたいなら自由に描けばいい。僕は君の邪魔をするつもりはない。……何か飲むか?嗜好品なら大体揃っているが」
「感謝するよ。お言葉に甘えて珈琲を頂こう。で、君は私に何を望むんだい?良いアトリエを提供してくれた礼だ、私の出来る範囲なら何でもする」
画架を開いてカンバスを乗せる白華を横目に、狂花はキッチンへと歩いていって、豆を挽いて珈琲を淹れる。狂花は珈琲をペーパードリップしながら、願いをどうしようかと考えを巡らせていた。そして一つの答えを導き出す。コーヒーカップ二つとミルクと砂糖を盆に乗せて持っていき、カップを白華の前に置くと同時に、狂花は白華に言った。
「では、度々僕の家に来て話をしてもらえないだろうか。絵を描きながらでも構わない。君の今まで見聞きした事や、君のその頭で考えた事を、僕と共有してもらえないだろうか。僕は少し君に興味がある」
「……そんな事でいいのか?」
「僕は無欲だ。今の生活には満足している。カフェインとニコチンとタールとアルコールがあれば僕は大体満足でね。求めるものは、元から大してないんだ。それに―――僕は君の絵が、それほど嫌いじゃない」
狂花はミルクを入れた珈琲にふーふーと息を吹きかけ、じっくりと味わうように飲む。会話が終わり、取り憑かれたように絵を描き出す白華を、狂花は煙草を加えながら眺めていた。
可愛い子を見つけたら妄想するのは当たり前の事ですよね? ディアボロ→←絵を描く為なら手段は選ばない 白華
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うp主こと東方好き死神まお(別アカ) - さっきさん» ありがとうございます! (2022年8月19日 13時) (レス) id: d45d880fd4 (このIDを非表示/違反報告)
さっき(プロフ) - 更新しました!あと、お話がいっぱいなので新しく作っておきます! (2022年8月19日 13時) (レス) id: cc7395c068 (このIDを非表示/違反報告)
さっき(プロフ) - 更新します! (2022年8月19日 12時) (レス) id: cc7395c068 (このIDを非表示/違反報告)
フウ(プロフ) - 更新しました! (2022年8月19日 12時) (レス) id: b910a0dd1c (このIDを非表示/違反報告)
フウ(プロフ) - 更新します! (2022年8月19日 12時) (レス) id: b910a0dd1c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サナティ x他5人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/
作成日時:2022年8月6日 9時