慣れない事はしないに限るが避けられない事もある 霊華 ページ35
「すみませーん、みたらし団子ひとつお願いしまーす」
「私はあがりだけでいいわ、注文は無しよ」
「では私は蕨餅を頂いてみますわ。蕨餅一つお願いします」
「私には緑茶をもう一杯貰えるか?……ん、さんきゅー」
剣城、幽香、霊華、影が順に言う。霊華は緑茶をちまちまと飲みながら、暖かい息を吐いた。横目でちらりと剣城を見る。幻想郷ではどちらかと言えば女性の方が多い印象があり、霊華は外の世界でも幻想郷でもなかなか男性と会う事が無かった。―――もうお分かりであろう、霊華は男性経験が全くもってゼロなのである。
「……あの、とっ、ところで、剣城さんは大決闘祭に参加なさいますの?」
「ん?ああ、勿論だ!ちょっと俺の力を試してみたくてな」
「さ、ささ左様でございますの。ああ、そうですわ!幽香さんは……あら、参加なさりませんか」
剣城の視線から逃げるように、霊華は幽香を見る。幽香は見ただけでも強者だと分かった。これ程の強者であれば決闘もさぞ見応えがありそうだったが、アポロンの神託によれば参加しないらしい。霊華にとっては残念極まりない。幽香は頷き、ふーふーと息を吐いて緑茶を冷ましながら、
「私はちょっとね。剣城の応援に回るわ」
「へえ、そうですのね。でしたら是非、私と影さんと一緒に観覧しませんか?人は多い方が総じて楽しいですわ」
霊華は幽香に提案すると、横で影が「私はもう行く前提かよ……」とぼやく。影ともあろう大悪魔が軽く頭を抱えているのが可笑しくて、霊華はくすくすと笑った。そんな他愛のない話をしていると、店員が蕨餅の乗った硝子の皿とみたらし団子の乗った陶器の皿をテーブルに置く。
「これが蕨餅……なんとも涼やかで風流なお菓子ですわね。この硝子の皿もとても良いですわ」
「霊華、お前蕨餅初めてなのか?……お、みたらし団子美味い」
独り言に反応した剣城の発言に驚いて、霊華は一瞬硝子の皿を取り落としかけた。なんとかひっくり返さないように持ち直して、真っ赤な顔を隠すように湯呑みを持つ。
「えっ⁉……えっ、ええ。蕨餅は初めてですわよ。お恥ずかしながら、和菓子全般をあまり頂いた事が無いのです。我が家のロー・ティーは洋菓子ばかりでしたので……」
「よく分かんないけど、なんか金持ちそうだなお前ん家」
「そそそそんな事は……まあ、ありますが……」
特に大して何もされていなければ、剣城も特に何も思っていないのだが、霊華の心拍数は急速に上がる一方だった。
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うp主こと東方好き死神まお(別アカ) - さっきさん» ありがとうございます! (2022年8月19日 13時) (レス) id: d45d880fd4 (このIDを非表示/違反報告)
さっき(プロフ) - 更新しました!あと、お話がいっぱいなので新しく作っておきます! (2022年8月19日 13時) (レス) id: cc7395c068 (このIDを非表示/違反報告)
さっき(プロフ) - 更新します! (2022年8月19日 12時) (レス) id: cc7395c068 (このIDを非表示/違反報告)
フウ(プロフ) - 更新しました! (2022年8月19日 12時) (レス) id: b910a0dd1c (このIDを非表示/違反報告)
フウ(プロフ) - 更新します! (2022年8月19日 12時) (レス) id: b910a0dd1c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サナティ x他5人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/
作成日時:2022年8月6日 9時