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龍友は凄く躊躇ったが
首を下げるAの後頭部に右手を置いた。

躊躇ったのは先輩の大切な人だからだった。




威を決して乗せた頭は思っていたよりも小さくて
やっぱ、か弱い女の子なんだよな。 と感じさせた。




「でもでもだってって、もっと自信持てよ。
俺が知ってる春山さんはさぁ? 葉大さん達とバカやってっか
Aの話でノロケてばっか居る人なんだよね。
スゲー好きなんだなって俺でも解るんだからさ! 」




龍友の言葉に・・・・・・ 下を向いているからか
涙だけじゃなく鼻水まで垂れてきて
最早顔をあげられないAは、うんうん! 頷いた。




「あ〜・・・・・・ 俺ねぇ、ハンカチとか持ってねぇの・・・・・・ 」

どうすっかなぁ〜? 呟いた龍友は教室に目を向けた。




この学校の教師は皆、触らぬヤンキーに祟りなし。
ヤンキーと呼ばれる人種は、徹底的に無視される。




龍友が暴走族に入ってからと云うもの
教師は龍友を空気の様に扱い

手を焼かされたヤンキーの彼女であるAは
卒業式の一件以来建前は腫れ物状態。




だが・・・・・・ 略空気に等しい。




そんな二人が廊下で、ゆっくり話せているのは
もう、とっくに授業が始まっていたからだった。



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作者名:10 | 作成日時:2016年7月16日 21時

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