第34話 ページ35
弦一郎さんは一瞬だけビックリしたように見えたが、すぐに自分の腕で抱き締めてきた。
真「そうかっ...!!」
弦一郎さんからはふわりと汗の匂い。一昨日まではこうして抱き締められ、部活終わりの彼のこの匂いに包まれるのが大好きで...。
真「別れてしまったとはいえ、他のやつらにお前を渡す気など微塵もない...。こんな奥手な俺でも、愛してくれ...。」
「それは...その...。こんなことするのやめてくれたら、考えますけど...。」
はっきりと、断ることができなかった。今の弦一郎さんの力ならすぐに抜け出せそうなのに...。
気づけば私も弦一郎さんの背中に手を回し、抱き締めていた。
...まだ、弦一郎さんのことが好きなんだろうな...。
真「少しだけ、このままでもいいか?」
私は声に出さずうん、と頷いた。
ずっとこの弦一郎さんで、ずっとこのままでいてほしい。
そんな願いはもう届かないかもしれないけど...。
「(弦一郎さんをまた、戻しますからね...!!)」
何分かそうしているうちに、また眠気が襲ってきた。
「ふぁ...ぁ〜...」
弦一郎さんの胸の中で一つ欠伸をこぼすと、彼が動いていないことに気づく。
私に覆い被さるその顔を見ると目を閉じて、すぅすぅと寝息を立てているのが分かった。
真「A...。好き、だ...。」
寝言をボソボソといっている。私がいるというのに、いや、いるからこそ言っているのかも知れないけど...。
心臓がドクドクと脈打つのがわかる。
「...弦一郎さん...私も、す...」
幸「あ、こんなところにいた。」
ガラリとふすまが開かれる。後ろを振り向くと精市さんだけだと思っていたのに、柳先輩もいた。
「せ、精市さん、柳先輩...!お、おはようございます!」
私が大きい声を出して、弦一郎さんから腕を離したからか、弦一郎さんの目は開いた。
真「!すまん、少しだけのつもりがつい寝てしまった...。」
柳「お楽しみだったようだな、弦一郎。」
柳先輩の声は低く、怒っているのが分かった。
幸「おはよう。そんなに真田のことが忘れられないのかい?」
精市さんはわざと畳を軋ませるようにドスドスと音をたててこちらへやって来る。
幸「真田もさぁ...。未練がましい奴は嫌われるよ。」
弦一郎さんから引き離すように、私の腕を引っ張って抱き寄せてきた。
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麗花(プロフ) - ももかさん» ももかさん!コメントありがとうございます!!仁王君はあんまりヤンデレにならなそうな人だったので!!でもまだまだ絶望に叩き落とすつもりです!ヤンデレは救いがないのが好きです! (3月20日 23時) (レス) id: b4309dff72 (このIDを非表示/違反報告)
ももか(プロフ) - 全部見たけどおもしろーい!!また更新されたら見ます!夢主ちゃんに希望があってよかった、、!! (3月20日 21時) (レス) @page31 id: 44e7241b69 (このIDを非表示/違反報告)
麗花 - 手塚ななさん!コメントありがとうございます!!全イケメンがヤンデレになってくれたら嬉しいですよね〜!更新頑張ります!! (3月17日 18時) (レス) @page7 id: b4309dff72 (このIDを非表示/違反報告)
手塚なな(プロフ) - ヤンデレっていいですね!!更新楽しみにしてます! (3月17日 18時) (レス) id: 308a374679 (このIDを非表示/違反報告)
麗花 - わー!!!満月らすとさん!コメントありがとうございます!!ヤンデレ最高ですよね?!頑張ります!! (3月17日 14時) (レス) id: b4309dff72 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:麗花 | 作成日時:2024年3月16日 21時