第24話 幸村side ページ25
あれはいつもの晴れた日のこと。去年の4月。
入学式から約二週間たって、体験入部が始まった日。
俺たちテニス部はその日もいつも通り部活に励んでいた。
フェンス越しにはテニスと言うより俺たちを見に集まっている女子達。
みんなマネージャーになりたそうだったけど、どうせ部活に貢献したいなんて理由じゃないって分かってた。
真「む...。」
真田がその集団から少し離れたところに目をやる。
そこにはフェンスに手をかけ、飛び交うボールを一生懸命眺める女の子がいた。
髪は腰くらいまであり、夜のように暗い色。それとは正反対に、その髪色を引き立たせるように白い肌...。
俺のタイプではなかったけど、なんとなく絵になりそうな子だと思った。
...真田はそのときから、一目奪われていたみたいだけど。
コート内に新入生が入ってこれる時間帯になると、やっぱり集団は俺たちや先輩の所にやって来た。
「錦先輩!かっこよかったです!!!」
だとか
「ゆ、幸村先輩!!お疲れ様ですっ!!!」
そんな風に声をかけてくる子が多かった。
その度に俺はありがとう。と返すのが恒例行事。
あの子もこの中に混じっているのかな、と見渡すけど、どこにもいない。
一番奥のコートに、あの子はいた。
ひたすらにボールを、ラケットの動きを見て...。
他の子とは違う。この子は本当に"テニス"が好きなんだって思った。
気になって声をかけにいってみる。
ベンチにおいていたタオルをもって、彼女のもとに走っていった。
「そんなに陽に当たっていたら、熱中症になっちゃうよ。」
俺がタオルを差し出すと、一瞬その子はビックリしたけど受け取ってくれた。
A「ご心配ありがとうございます!あの...去年優勝した時のオーダーの中にいた方ですよね...?
一年生三人のレギュラーの内の...。」
見た目とは真逆の元気そうな声。近くで見れば目鼻立ちもはっきりしていて...。例えるならルノワールの肖像みたいだった。
「うん。俺は幸村精市。ずいぶん熱心に様子を見てたけど...。テニスが好きなのかい?」
俺が聞くとその子はうんうんとうなずく。
「はいっ!!素質はないんですけど、見るのが大好きなんです!...あ!」
思い出したかのように付け足す。
「私、片渕って言います!片渕Aです!覚えてもらわなくて大丈夫なんですけど...。
いつか、ここの部活に携わることがあれば、その時はお願いします!」
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麗花(プロフ) - ももかさん» ももかさん!コメントありがとうございます!!仁王君はあんまりヤンデレにならなそうな人だったので!!でもまだまだ絶望に叩き落とすつもりです!ヤンデレは救いがないのが好きです! (3月20日 23時) (レス) id: b4309dff72 (このIDを非表示/違反報告)
ももか(プロフ) - 全部見たけどおもしろーい!!また更新されたら見ます!夢主ちゃんに希望があってよかった、、!! (3月20日 21時) (レス) @page31 id: 44e7241b69 (このIDを非表示/違反報告)
麗花 - 手塚ななさん!コメントありがとうございます!!全イケメンがヤンデレになってくれたら嬉しいですよね〜!更新頑張ります!! (3月17日 18時) (レス) @page7 id: b4309dff72 (このIDを非表示/違反報告)
手塚なな(プロフ) - ヤンデレっていいですね!!更新楽しみにしてます! (3月17日 18時) (レス) id: 308a374679 (このIDを非表示/違反報告)
麗花 - わー!!!満月らすとさん!コメントありがとうございます!!ヤンデレ最高ですよね?!頑張ります!! (3月17日 14時) (レス) id: b4309dff72 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:麗花 | 作成日時:2024年3月16日 21時