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手をひかれながら少し歩くと、空気がさらに冷たくなったのがわかった。
「止まるよ。３、２、１で目開けてね。」
カウントダウンが始まってどきどきしながら目を開けると、そこには綺麗な夜景が広がっていた。
「すごーい！きれーい！」
「ははっ、ナイスリアクション。」
「こんな場所あったんだ！ほんとに綺麗！」
結構前にラウール君と散歩してる時に見つけたんだって。
いつか一緒に見たいって思ってた。って。
隣にいる彼を見上げると、夜景が反射してすごくきらきらしてた。
「出会ってからのこと考えるといろいろあったよな。」
「だね。今じゃもう笑い話だよ。」
「俺あれツボなんだけど！あのーあれ！」
「あーあれね。」
「え？まじ？わかったの？」
「んーん、わかんない。」
なんだよそれって笑う彼が見たくてついついふざけちゃう。
好きだって自覚したときも、
もうだめだって逃げ出したときも、
ただただ幸せだけを願ったときも、
私１人じゃなんにも成立しなかった。
ずっと彼がいてくれたから、蓮がいてくれたから私は私の物語の主人公になれた。
「忘れたくないな。この景色も全部。」
「Aが忘れても俺が覚えてるよ。」
「小説でも書こうかな。アイドルと一般人みたいな。」
「いいじゃん。それがヒットして実写化したら俺が演じるんでしょ？」
「あ、でも恋愛物だったら当て馬とかいるよね。どろどろ系が好きなんでしょ？どうせ。」
「どうせってなんだよ。」
大きな身体揺らしながら笑ってる。
絶対にありえない話なのに彼が否定しないから私も調子乗っちゃうんだ。
「あ、いるじゃん。当て馬。」
「誰？」
「ケーキ屋さん...。」
あー、ね。
あっちゃんに恋する世界線もあったのかもしれない。
いい奴なのはわかりきってるし、美味しいケーキ作ってくれたのだって嬉しかった。
全部タイミングなのかなって実感する。
たまたまもう蓮と出会ったあとだったから。
たまたまもう蓮に恋してたから。
それが逆だったら？
たまたま失恋したあとだったら？
たまたま好きな人がいなかったら？
「なーなー、ガチで考えんのやめれる？」
ちょっとだけ不貞腐れた顔の彼。
ほら、この瞬間だってずっと忘れたくない。
偶然とか運命とか必然とか、そのどれにも属さないくらい大切で。
たまたま君だっただけ。
たまたま私だっただけの話なんだ。
「蓮、耳貸して。」
「ん？」
「愛してる。」
END
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ちくわ(プロフ) - minaさん» わーすごく嬉しいです。ありがとうございます。更新遅くて申し訳ないのですがもっと楽しんでいただけるように頑張りますね。 (11月26日 10時) (
レス) id: a6fdefa27b (このIDを非表示/違反報告)
mina(プロフ) - 2度目の感想です！ふたりの時間がまた流れ始める予感で嬉しくて涙が出てしまいました！！雨って嫌な事ばかりじゃないんですね、、嬉しい、、！！斜め上からくる蓮くん堪らなく愛おしいです！こんなにも更新が楽しみなお話は初めてです。ありがとうございます(/ u ; ) (11月25日 6時) (レス) @page21 id: ff96477080 (このIDを非表示/違反報告)
ちくわ(プロフ) - ハニさん» ありがとうございます。コメント全く気付いていなくてお返事が遅くなっちゃいました。すみません。ゆっくりですがまた読みにきていただけると嬉しいです。 (11月20日 22時) (レス) id: a6fdefa27b (このIDを非表示/違反報告)
ハニ(プロフ) - すごく楽しく読ませてもらってます!!好みの作品で一気に読んでしまいました!更新待ってます頑張ってください!! (11月7日 10時) (レス) id: e49c92eedc (このIDを非表示/違反報告)
ちくわ(プロフ) - あき。さん» 素敵なコメントありがとうございます。気付くのが遅くなってしまってごめんなさい。もう少しだけ見守っていただけたら嬉しいです。 (10月8日 23時) (レス) id: a6fdefa27b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちくわ | 作成日時：2023年9月27日 23時
